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IoT歯ブラシ使い家庭と歯科医をつなぐサービス、サンスターと富士通が提供へ

五味 明子(ITジャーナリスト)
2017年12月26日

IoT歯ブラシは、IoT(Internet of Things:モノのインターネット)の技術を使い日々の歯磨きの状態を記録できるもの。このIoT歯ブラシを使って患者と歯科医を双方向につなぐサービスが2018年1月31日から始まる。サンスターと富士通が連携して提供するもので、患者は自分の口腔内の状態を、歯科医は患者の日々の歯磨きの状態をそれぞれが把握できるようにする。予防的な歯科医療の普及を後押しする。

 2018年1月31日に開始する「先進予防歯科サービス」は、サンスターのIoT歯ブラシ「G・U・M PLAY(ガム・プレイ)」と富士通の歯科医院向けクラウドサービスを連携させたもの(図1)。「80歳になっても20本以上自分の歯を保とう」という「8020(ハチマルニイマル)運動」などにつながる予防歯科医療の普及をテクノロジーで支援する。近年は、口腔内の健康が、糖尿病などを含む身体全体の健康にも影響しているとされ、高齢化に伴う保健医療費高騰の抑制にもつながるとする。

図1:サンスターのIoT歯ブラシ「G・U・M PLAY(ガム・プレイ)」と富士通の歯科医院向けクラウドサービスを連携させた「先進予防歯科サービス」の概要

 サンスターのG・U・M PLAYは、歯ブラシに専用のセンサーを後付けすることで、日々の歯磨きの状態を把握できるスマートフォン用のアプリケーション。新サービスの提供に合わせて追加した新アプリ「MOUTH STATUS」では、歯科衛生士の理想的な磨き方と比べ、どれだけ適切に磨けているかを可視化できるようにした(図2)。

図2:「G・U・M PLAY」の外観とスマホアプリの画面例(プレスリリースより)

 先進予防歯科サービスでは、このデータを通院先の歯科衛生士や歯科医と共有し、よりパーソナライズした指導を患者に提供することで、家庭でのケアの質を高める。患者は歯科衛生士の指導に沿い、自分のみがき方のクセや、みがき残しなどをスマホ画面で確認しながらケアを継続することになる。

 一方、富士通の歯科医院向けクラウドサービスは、予防歯科医療の普及に取り組む歯科医師の熊谷 崇 氏(医療社団法人 日吉歯科診療所 理事長)と共同開発したもので、2016年10月から日吉歯科診療所に初導入され、これまでに約50の予防型歯科医院で採用されている。

 今回のサービスでは、クラウド上に、歯科医院が保有する患者の口腔情報、すなわち口腔写真やレントゲン写真、検査結果、歯科医師や歯科衛生士のコメントなどを集約。全データを歯科医院と患者が共有できるようにした。歯科医院は患者の来院時に更新したデータをVPN(仮装施設網)回線を通じてクラウドにアップロードする。患者はそれらのデータを「歯の健康ファイル」として、いつでも閲覧/ダウンロードできる(図)。

図3:「歯の健康ファイル」のイメージ(プレスリリースより)