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睡眠時無呼吸症候群の治療を支援するクラウドサービス、フィリップス・レスピロニクスが開始

DIGITAL X 編集部
2018年1月17日

フィリップス・レスピロニクスは、呼吸器官の疾患治療を支援するクラウドサービス「ケア オーケストレーター」の日本での提供を開始した。まずは睡眠時無呼吸症候群の治療を支援するサービスとして提供する。2018年1月15日に発表した。

 ケア オーケストレーターは、睡眠時無呼吸症候群(Sleep Apnea Syndrome:SAS)の患者がCPAP(Continuous Positive Airway Pressure)療法を受ける際に、治療機器の使用状況を把握するためのサービス。機器の使用状況や患者の検査結果など、疾患と治療に関する資料を統合管理できる。診療時に医師は、治療機器の正確な使用状況や検査データなどをケア オーケストレーター上で確認しながら診断が下せるようになる(図1)。

図1:医師はケア オーケストレーターが蓄積、管理している情報を参照することで、短時間で正確な診断を下せる

 CPAP療法を受ける患者は、原則として月に1回、最長でも3カ月に1回、医師の診察を受け、治療機器の使用状況や治療成果について医師から評価を受けなければならない。ただ患者は、睡眠時に鼻孔から空気を送り込むマスクを装着する必要があり、その違和感から、治療を開始した患者のうち、およそ30%が治療開始から3カ月以内に自己判断で治療を中止してしまっているのが実状だ。

 ただ、患者と会話を交わすだけの問診では、患者が治療機器の使用を止めてしまった理由がつかみにかったり、そもそも患者が治療機器の使用を止めたことを明かさなかったりする可能性がある。ケア オーケストレーターで把握した詳細な使用状況を参照すれば、どういう理由で治療機器の使用を止めたのかが把握できる。たとえば治療機器の使用方法に問題があり、それが違和感につながっているようなら、正しい使用方法を改めて指導することで治療を継続できる。

 継続して治療を受けている患者に対しては、治療が不十分なことが分かるため改善指導ができる。具体的には、1回の治療機器使用時間が短い、あるいは治療機器から得られるAHI(Apnea Hypopnea Index:無呼吸低呼吸指数)が高いなどの事象が発生し、しきい値を超えると、ケア オーケストレーターは医師の専用画面に通知する。

 ケア オーケストレーターは、オランダPhilipsが開発した医療向けクラウドサービス基盤「HealthSuite」を基に開発したもの。HealthSuite上で動作するサービスの日本国内での提供は、これが初めてだが、クラウドコンピューティング環境で稼働する呼吸装置治療支援プログラムとして、厚生労働省から薬事承認を受けている。米国では2016年にアメリカ食品医薬品局(FDA:Food and Drug Administration)の認可を取得し、CPAP療法に限らず、在宅や院内で使用する人工呼吸器などの使用状況管理に使われている。

 ケア オーケストレーターは、フィリップスが貸し出す医療機器専用で、医療機器の貸し出し料に、その使用料が含まれている。治療機器の使用状況などをアップロードするための通信機器は、従来提供していたものが使えるとしている。通信機器のレンタル料は月額1400円(税別)。