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世界の経営者が考える2018年は「景況は良いがテクノロジー人材の確保が課題」、英PwCの調査結果

DIGITAL X 編集部
2018年1月25日

英PricewaterhouseCoopers(PwC)は、世界の経営者およそ1300人に2018年の景気予測や懸念事項などを聞いたアンケートの調査結果を2018年1月22日に公表した。

 PwCの『第21回世界CEO意識調査』は、2017年8月から11月にかけて実施され、世界85カ国1239名のCEO(最高経営責任者)から回答を得た。結果によれば世界のCEOの57%が「今後12カ月で世界経済の成長率が上昇する」と回答した(図1)。前年の同調査では29%だったので、およそ倍増したことになる。

図1:世界のCEOの57%が「今後12カ月で世界経済の成長率が上昇する」と回答している(PwCの『第21回世界CEO意識調査』より)

 特に世界経済に楽観的な見通しを示しているのが、アメリカ企業の経営者で、59%が肯定的な回答を寄せている。前年は大統領選があったため、先行きを見通しにくかったが、トランプ大統領が就任後に打ち出した規制緩和と法人税の引き下げで企業経営環境が改善し、2018年の企業経営について楽観視しているとPwCは見ている。他の国でも、2018年の世界経済の成長率と企業経営について楽観的な回答を寄せた経営者が多かった。

 企業経営に楽観的な経営者は2018年、雇用を増加させる計画を立てている。回答者中の54%が人員増員を計画している。ただし、コンピューターやネットワークの先端技術を持つ人材の確保には不安を抱いているようだ。回答者の28%が、「自社が拠点を置く国で人材を確保できるか懸念を抱いている」としている。「従業員としてそのような人材を確保することが困難ではないか」と心配している経営者が、22%、27%は「経営層に先端技術に理解がある人材を招き入れることが難しくなる」と考えている。

 そのような人材を自社に引き寄せるために必要なこととしてPwCは、最新の労働環境の整備、研修プログラムの提供、そして他社と協力することを挙げている。

 一方で技術革新の結果、社内で果たすべき役割がなくなってしまう従業員も増えつつある。特にエンジニアリング・建設、テクノロジー、通信の3業種のCEOは、約70%が「従業員を再教育する責任がある」としている。また、CEOの61%は、が自動化やAI(人工知能)が従業員にどのような影響を与えるのかを的確に説明することが、従業員との信頼関係を強固にすると考えている。

 テクノロジーの利用で、特に雇用を減らすと考えられるのが金融サービス業界。銀行、資本市場、保険業界のCEOの24%は、実際に雇用削減を計画している。PwCは、同業界の雇用の28%は、先端技術や自動化の発展により相当数が消失すると予想している。