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作業現場の労働力不足を解消するサービスの開発に向けNTT東と日本マイクロソフトらが実証実験

DIGITAL X 編集部
2018年1月29日

労働力不足などの問題を抱える作業現場に向けたサービスを実現するために、NTT東日本と日本マイクロソフトらが実証実験を2018年3月から開始する。まずは物流倉庫を実証フィールドに、倉庫で働く作業者の生体データなどを収集し、安全かつ効率的な作業を支援するサービスのあり方を検証する。2018年1月25日に発表した。

 実験では、人材の有効活用や早期育成、作業の省力化などに対し、IoT(Internet of Things:モノのインターネット)やAI(人工知能)を使った仕組みが有効なことを検証する。だれもが安全に働ける環境を作り、労働力不足を補えるサービスの提供が目的だ。

 まずは倉庫業務を対象に、物流関連アプリケーションパッケージなどを開発するPALと組み、PALのパッケージを使いながら、主に4つの項目を実験する(図1)。1つは、作業者に腕時計型ウェアラブルデバイスを身に付けてもらい、脈拍などの生体情報を収集し、作業者1人ひとりの体調を把握。体調不良の兆しを検知すれば、管理者や本人に警告を発し、早期発見/早期対処につなげる。冷凍庫内など累積の作業時間管理が必要な環境では、警告を発するとことで該当の作業者を現場から離脱させる。

図1:今回実施する4種類の実験

 第2の項目は、物流倉庫内に設置したビーコンと作業者が身に付けたウェアラブルデバイスを利用して、作業者の位置を把握する実験。作業者が危険区域などに立ち入った際に警告を発する。

 3つ目は、顔認証技術を活用した勤怠管理。作業者全員の顔写真を登録しておき、作業者は毎日の作業開始時にウェアラブルデバイス内蔵のカメラで自身の顔を撮影する。事前に登録した顔写真と、作業者が毎日撮影する顔写真を、MicrosoftのAI機能群「Microsoft Cognitive Services」を利用して比較し、本人かどうかを確認する。

 最後は、外国人労働者を想定し、作業者が持つウェアラブルデバイスに作業指示を送る。Microsoft Cognitive Servicesを利用し、作業指示は、作業員それぞれが理解できる言語に翻訳して通知する。

 これらのほかに、熟練した作業者の無駄のない動きをとらえ、数値や映像といった形で、その動きを分かりやすく伝える教材を作成する計画もある。教材をほかの作業者の作業効率改善や新人教育に役立てたい考えだ。

 実証実験の期間は2018年3月から2019年3月まで。NTT東日本と日本マイクロソフトは、実証したシステムを実験期間内に商品化することを目指す。物流業に限らず、労働力不足で悩んでいる製造業や介護業などに向けたシステムの開発も計画するほか、ロボットによる自動化を視野に入れた実験も検討している。具体的には、作業時の腕の動きに伴う負荷データなどを収集・蓄積する。