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約4500社が参加したCES2018、日本企業の出展数49社は十分か

田中 克己(IT産業ジャーナリスト)
2018年1月30日

五感に訴えるデバイスなどもアピール

Scentee:スマホで香りを送るデバイスを発売

 香りをテーマに新しいコミュニーケーションなどを提案するScentee(センティー)。2年をかけて開発した新デバイス「AIルームディフーザ」の発売を現地で発表した。スマホで香りを送るためのもので、電源のオン/オフをコントロールしたり複数の香りを切り替えて楽しんだりができる。利用者の香りの好みを利用履歴から分析する。価格は3万9800円。本体には50mlの香水ボトル4本を差し込み、ボトルの中身がなくなれば新しいボトルを購入する。

 Scenteeは、IoTやAIなどの技術を使って、スマホのアラーム代わりにベーコンなどの香りを出す仕組みなどを開発してきた。受託開発もし「大手の5分の1のコストで、10倍のスピードで作れるのが当社の特徴だ」と坪内 弘毅 社長は話す。

QDレーザー:網膜に映像を投影するディスプレイ

 富士通からスピンアウトしたQDレーザーは、2018年夏にも発売予定のヘッドマウント型ディスプレイを展示した。レーザー網膜走査技術を使い、網膜にデジタル映像を投影するもので、近眼や乱視などの利用者でもピント調整なしに、ぼけない映像が見られる。目に映っている実風景とデジタル映像を融合するなどで、新しい体験を提供できるとする。

 最初に発売する予定のカメラなし型ディスプレイの価格は20万円程度。カメラ付きディスプレイの発売も計画する。なお、このディスプレイは医療機器になるため米FDA(食品医薬品局)の認可取得が必要になる。

江崎グリコ:AIスピーカー対応の食卓サポートシステム

 江崎グリコは、食卓に並ぶ食材の栄養や知識などを米Amazon.comのAIスピーカー「Alexa」に答えさせる食卓サポートシステム「教えて! ぐりこっち」を紹介していた。たとえば、食べたいのは「みかん」とAlexaに話しかけると、「ビタミンCが何グラム」といった栄養素や、お勧めの調理方法などを教えてくれる。「運動量から、あと何グラムを摂取したら」とアドバイスもする。「コーポレートブランディングが目的」(出展担当者)のため使用料は無料である。

CEREVO:超小型の自動販売機

 インターネット接続型家電(ネット家電)を企画・開発するCEREVOは、今夏にも発表する予定の超小型自動販売機を出展した。自販機の大きさは750mlのワインが入る程度。QRコードを読み取ってモバイル決済することで、電源もネット回線も現金も不要にした。代表取締役CEOの岩佐 琢磨 氏は「メルカリなどモノを共有するC2C(Consumer to Consumer)が伸びている」ことから、この自動販売機を考えたという。果物などの無人販売のほか、ホテルや民泊などでの活用を期待している。価格は3万〜4万円を想定している。

マクアケ:アイデアを商品化に導くサービス

 大企業に向けた製品開発のアプトプット支援ビジネスを紹介したのがマクアケ。簡単に言えば、お蔵入りしたアイデアを商品化に導くサービスである。「手持ちの技術なども組み合わせによって、こんなものが作れる」と提案するとともに、必要な生産リソースなども示す。クラウドファンデングも活用する。

 社長の中山 亮太郎 氏はベンチャーキャピタル(VC)出身。「企業のプロジェクトを外部から支援する人材は少ない。それをサービスとして提供するビジネスを考えた」と話す。これまでに、コニカミノルタの「ニオイ見える化チェッカー」や、ソニーの「電子ペーパー腕時計」、キングジムの「PC盗難防止に使える荷物見守り超小型デバイス」などを商品化した。ちなみに、キングジムのデバイスの生産台数は約1000台だった。