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サプライチェーンにデジタル技術を十分に活用できている企業は5%、独DHLの調査
「サプライチェーンの改善にデジタル技術を十分活用できている企業はわずか5%」−−。こんな調査結果をドイツの物流大手DHLが発表した。この変化に適応できない企業は取り残される恐れがあると警告している。日本ではDHL日本法人が2018年3月14日に発表した。
今回の調査は、独DHLの企業向け物流サービス部門であるDHL Supply Chainが、物流系コンサルティング会社の米lharrington group(LHG)に依頼して実施した。対象は、世界各国でサプライチェーン業務に従事している担当者や専門家335人で、自動車や消費財、ライフサイエンス、テクノロジー、重工業などの業界に属している。
まず、今後重要になるハードウェア技術としては、ロボット技術が63%で最も高かった(図1)。これに、自動運転技術の40%、3Dプリント技術の33%、AR(Augmented Reality:拡張現実)の28%、ドローンの27%が続く。
データ分析技術については、ビッグデータ分析が73%でトップ。続いてクラウドアプリケーションが63%、IoT(Internet of Things:モノのインターネット)が55%、ブロックチェーンが51%、機械学習が46%、シェアリングエコノミーが34%だった(図2)。
これらの先端技術をどの程度取り入れているかを聞いたところ、「完全に取り入れてサプライチェーンの変革を進めている」という回答はハードウェア技術、データ分析技術のいずれもが、わずか5%に留まった(図3)。
ただし、「導入前の開発段階にある」という回答が、ハードウェア技術は31%、データ分析技術は39%になる。「導入初期の概念実証の段階にある」とする回答も、ハードウェア技術、データ解析技術ともに20%あった。「導入するつもりがない」との回答は、ハードウェア技術は10%、データ分析技術は7%だった。
先端術を取り入れたシステムは誰が開発するかについては、まずハードウェア技術については、60%が「ほかの物流業者が開発したものを取り入れたい」と回答し、26%が「専門技術を持つ企業が開発したものを利用したい」とする。「自社で開発したい」は39%だった。
一方のデータ分析技術について最も多かったのは、「自社で開発したい」の56%。もっとも「ほかの物流業者が開発したものを利用したい」も48%、「専門企業が開発したものを利用する」も35%ある(図4)。
この点について調査報告書は、「データ分析技術がサプライチェーン業務の省力化だけでなく、競合他社に対する競争優位性につながるからだ」と推測している。