• News
  • 物流

自動倉庫の監視カメラにAI組み込み荷物の状況をリアルタイムに把握、村田機械が実証開始

志度 昌宏(DIGITAL X 編集長)
2018年5月15日

自動倉庫システムなどを手がける村田機械が、搬送などの不具合をAI(人工知能)を使って、よりリアルタイムに検知する仕組みの実証実験を開始した。倉庫内に設置するカメラにAIを組み込み、カメラ側で検知する。AIにはディープインサイトの「KAIBER」を採用した。2018年秋の実運用を目指す。2018年5月7日に発表した。

 実証実験は、村田機械の犬山事業所で2018年2月に稼働した「ムラテック・グローバルパーツセンター」において、実稼働している自動倉庫で実施する(写真1)。移載装置(スタッカークレーン昇降台)やラックにおいて、大きさや形状などが異なる荷物の荷崩れや梱包の不備などを、AI(人工知能)システムが、人による目視に代わって、どれだけリアルタイムに検知できるかを検証する。

写真1:2018年2月に稼働した「ムラテック・グローバルパーツセンター」の内部

 同社の監視用カメラシステム「CSU-100」に、ディープラーニング・フレームワーク「KAIBER」を組み込み、荷物の移送状況や保管状況を監視する(写真2)。KAIBER、エッジコンピューティングの実現に向けた組み込み用のディープラーニング・フレームワークでディープインサイトが開発している。

写真2:村田機械の監視用カメラシステム「CSU-100」の外観

 最近は、ネットビジネスの拡大で、商品を保管・発送する配送センターの安定稼働・稼働率向上が従来に増して大きな課題になっている。ムラテック・グローバルパーツセンターでは、各種センサーやカメラによる稼働データを分析することで、機器の稼働監視や予防保全の実現を目指している。今回のディープラーニングを組み込んだ監視用カメラシステムを加えることで、自動倉庫における荷さばきのトラブルを未然に防ぐ仕組みを確立したい考え。2018年秋にも実運用を開始する計画だ。

 なおムラテック・グローバルパーツセンターでは、これら監視システム自体の安定稼働に向け、ネットワーク環境にはSDN(ソフトウェア定義型ネットワーク)を導入している。制御系やカメラ/センサー系など用途が異なるネットワークを仮想的に構築することで、安定性や性能を確保するとともに、今後のIoT(Internet of Things:モノのインターネット)の活用範囲の広がりにも備えている。