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世界のスマートシティ関連市場は2025年までに220兆円規模に、米Frost&Sullivanが予測
「世界のスマートシティ関連市場は2025年までに2兆ドル(220兆円:1ドル=119円換算、以下同様)にまで成長する」--。アメリカの調査・コンサルティング会社のFrost&Sullivanによる予測である。日本では同社日本法人が2018年5月25日に発表した。
米Frost&Sullivanの予測によれば、2050年までに先進国では市民の80%が、新興国でも60%以上が都市部に居住するようになる。人口の都市への集中を支えるためには、資源を最大限有効に活用し、市民の生活コストや時間の節約と、生活の質を向上させるには、都市への最新技術の適用、すなわちスマートシティ化が不可欠になる。
スマートシティに向けた主要なテクノロジーとしては、AI(人工知能)と、個別化医療、ロボット技術、先進運転支援システム(ADAS)、分散型発電などを挙げる。これらを中心に、スマートシティ関連の市場規模は世界全体で2025年までに2兆米ドル(220兆円)以上に到達するとしている。
特にAIは不可欠な技術であり、スマートパーキングや、スマートモビリティ、スマートグリッド、アダプティブ信号制御、廃棄物管理など、幅広い領域に利用させるとする。AI導入を先導している企業としては、米Google、米IBM、米Microsoftの名前を挙げている。
スマートシティへの取り組みを地域別にみると、まずアジア太平洋地域では、分散型発電などスマートエネルギー市場が世界でも最も早く成長する。特に中国のスマートシティが同地域の50%以上を占め、2025年までに中国経済に対し3200億ドル(35兆2000億万円)規模の経済効果をもたらすという。
北米では、コロラド州デンバーやオレゴン州ポートランドなどの中規模都市がスマートシティに積極的に取り組んでいる。北米のスマートビルディング市場は、スマートセンサーや、システム、ハードウェア、ソフトウェアなどを含め、2020年に57億4000万ドル(6314億円)規模に成長する見込みである。
欧州では、欧州委員会(EC)が主導しスマートシティに積極的に活動している。世界の中で欧州がスマートシティに対し最も大きな費用を投下するとみる。スマートモビリティの実現に向けたタクシーの配車サービスなどの市場が、2018年の約500億ドル(5兆5000億円)から2025年までに1200億ドル(13兆2000億円)規模に成長する見通しだ。
中南米では、メキシコシティ、グアダラハラ(メキシコ)、サンチアゴ(チリ)、ブエノスアイレス(アルゼンチン)、リオデジャネイロ(ブラジル)といった都市がスマートシティに向けて活動している。ブラジルのIoT(Internet of Things:モノのインターネット)市場はおよそ32億ドル(3520億円)で、そのうちの20%近くがスマートシティに向けた取り組みだという。
現状について、Frost&Sullivanのビジョナリーイノベーション部門でシニアリサーチアナリストを務めるビジェイ・ナラヤナン氏は、「スマートシティのモデルのほとんどがサイロ型であり、相互接続性がない状態だ」と指摘する。ただ将来的には、「あらゆるソリューションが単一プラットフォームに統一される統合型への移行が進む。その実行を切り開くのがIoTだ」としている。