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工作機械などへのAI機能搭載に向けFPGAモジュールと開発環境を連携、マクニカ、クロスコンパス、DMPが提携で
工作機械などにAI(人工知能)機能を搭載するために、マクニカとクロスコンパス、DMP(ディジタルメディアプロフェッショナル)の3社が技術提携し、その第一弾として学習モデルの開発環境とFPGAモジュールを連携させた。2018年9月19日に発表した。
技術提携したのは、半導体やネットワーク機器を販売するマクニカと、ディープラーニング技術によるAI(人工知能)の開発支援やプラットフォーム運営を手掛けるクロスコンパスと、GPU(画像処理プロセサ)やAIを中心にSoC/モジュールの販売および開発受託を手掛けるディジタルメディアプロフェッショナル(DMP)の3社。
目的は、クロスコンパスが開発する製造業向けAIの開発環境「Manufacturing-IX」と、DMPが販売するAI用FPGA(Field Programmable Gate Array)モジュール「ZIA C2/C3」を連携することで、AIの学習モデルの開発からFPGAでの実行までをワンストップで提供することにある。まずは両者の連携を可能にするための環境を整備した。
Manufacturing-IXは、異常検知や予知保全に向けた学習モデルを作成できるAIの開発環境。分析するデータに合わせた学習モデルをGUIベースで作成できる。学習結果を検証し学習モデルを作り直すこともできる(図1)。利用者は、データを用意し、目標を設定して処理結果を確認し、良い結果が得られた学習モデルを出力し、コンピューターに実装すればよい。
ZIA C2は米IntelのFPGA「Arria V SX SoC」を搭載したモジュール(図2)。英Arm製プロセサコア「Cortex-A9」2基分の回路で構成され、DMPが開発したAIプロセサ「DMP ZIA DV700」の回路も書き込んである。FPGAはGPUや高性能プロセサに比べ電力消費量が少なく、少ない消費電力でAIによる推論処理が可能になる。
今回、Manufacturing-IXで作成した学習モデルを、ZIA C2のFPGAに書き込む形で出力できるようにする。ZIA C2では、FPGA搭載ボートを取り外せるため、学習モデルを書き込んだ後にFPGAボードを外し、別に作成した基盤に実装して使用することもできる(図3)。
Manufacturing-IXでは今後、電流・電圧・温度など、時系列で変化するデータへの対応を予定する。振動や音響、画像、動画などのデータにも対応することで、製造業における異常検知や予知保全用の学習モデルの作成を可能にする計画だ。
提携した3社は、センサーなどによるデータ取得からエッジ側でのAIによる分析までををワンストップ化し、工作機械を中心とした産業機器メーカーや製造業向けに提供したい考えだ。