- News
- サービス
アニーリングマシンによる組み合せ最適化問題特化の計算サービス、NEDOと日立が無償公開
「組み合わせ最適化問題」に特化した計算サービスを新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)と日立製作所が無償公開した。「CMOSアニーリングマシン」という新しいコンピューターを使っている。2018年9月19日に発表した。
新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)と日立製作所が無償公開したのは「Annealing Cloud Web」というサービス。膨大な選択肢から最適な組み合わせを見つけ出す「組み合わせ最適化問題」を解く計算サービスだ(図1)。
組合わせ最適化問題の典型例に「巡回セールスマン問題」がある。セールスマンが複数の都市を1回ずつ訪問しながら最初の都市に戻る際に、どの順番で巡れば移動距離を最短にできるかという問題だ。訪問する都市の数が増えると計算量が指数関数的に増加するため、現実的な時間では解けなくなる。
Annealing Cloud Webでは、日立が開発した「CMOSアニーリングマシン」を活用することで、計算時間を短縮している。アニーリングマシンは、磁性体の性質を説明するために考案された「イジングモデル」を利用し、組み合わせ最適化問題を効率良く解ける新種のコンピューター。日立のCMOSアニーリングマシンは、イジングモデルの動作をCMOS半導体で擬似的に再現している。
今回、サービスを無償公開したのは、アニーリングマシンの普及を促し、活用例を増やしたいため。今後は、アニーリングマシンの普及と関連技術者の早期育成を目指す。同時に、Annealing Cloud Webを利用者がどのように使っているのかを調べることで、課題を洗い出し、今後のさらなる研究開発に役立てるとしている。
日立としては2015年2月、2万480のパラメータに対応した専用チップの試作に成功し、2016年11月にはFPGA(Field Programmable Gate Array)を利用して計算規模を拡大する技術を開発。2018年6月には複数のFPGAを接続して計算性能を拡張させる技術を開発するなど、アニーリングマシンの開発に取り組んできた。今回のサービスで利用するCMOSアニーリングマシンは、新開発のプロセサだとしている。
なおCMOSアニーリングマシンの開発には、産業技術総合研究所、理化学研究所、情報・システム研究機構、早稲田大学との共同研究の成果を生かしている。