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三井不動産が東京・日本橋へのベンチャー集積を目指す「“E.A.S.T.”構想」、都市開発におけるベンチャー争奪戦も

DIGITAL X 編集部
2018年10月5日

三井不動産は、起業家支援を手がけるプロトスターとともに、東京・日本橋(中央区)をベンチャー企業の集積地とするプロジェクトを開始した。2018年9月19日に発表した。

 三井不動産とプロトスターが開始した「“E.A.S.T.”構想」のE.A.S.T.は「Empowering Ambitious Startups in Tokyo」の略。東京中央区の日本橋周辺にベンチャー企業を集積させ、大企業や上場企業との協業などを支援することで、ベンチャー企業の成長と大企業の技術革新の実現を目指す。

 両社によれば、日本橋周辺にオフィスを構えるベンチャー企業が増えている。2010年以降に中央区に設立されたベンチャー企業のうち、5000万円以上の資金を調達した企業が70社を超えるという。

 日本橋周辺は元とも、古くからの企業や大企業や上場企業が本社を置いている。デジタルシフトに向けベンチャー企業などとの協業を模索する大企業が増える中、両社の協業が進みやすい環境だとも言える。

 三井不動産はこれまで、ベンチャー共創事業「31VENTURES」において、大企業の新規事業創出やベンチャー企業の実証実験などを支援してきた。その拠点となるコワーキングスペース「31VENTURES Clipニホンバシ」を開設していた。新たに東京ミッドタウン日比谷に「Base Q」を開設したことで、Base Qを大企業の新規事業創出支援の場とし、31VENTURES Clipニホンバシはベンチャー企業が集まる場として使用する。

 ベンチャー企業の集積地としては、古くからの渋谷が有名だ。同地区では東急電鉄が、ベンチャー集積をテコに再開発を進めており、米Google日本法人が本社を六本木から移している。Googleが抜けた六本木ヒルズを持つ森ビルは、隣接するアークヒルズ(溜池山王)を含め、ベンチャー誘致やコワーキングスペースの強化に動いている。

 一方、三菱地所は、東京・大手町周辺にベンチャー集積地としての機能を持たせることを進めている。大手町も金融機関をはじめ大企業/上場企業が本社を置いており、ベンチャーと大企業の協業をうながしやすいとしている。自動運転やモビリティサービスの開発に力を入れるトヨタ自動車が、大手町ビルに拠点を開設している。

 都市の再開発や活性化において、ベンチャー企業への期待が高まっており、オフィス開設の争奪戦が激しくなりそうだ。