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各種の社外データを安全・高品質に利用するためのブロックチェーンを使った技術、富士通研が開発

DIGITAL X 編集部
2018年11月7日

他社から入手したデータを安心して利用するための技術を富士通研究所がブロックチェーン技術を使って可発した。加工履歴や出所を追跡できるようにすることで、データの信頼性を確認したり、利用の同意が得られている個人情報を入手したりを容易にする。2019年度の実用化を目指す。2018年9月20日に発表した。

 富士通研究所が開発したのは、「ChainedLineage(チェーンドリネージュ)」と名付けたデータ管理技術。社外から提供を受けたデータを利用する際などに、データの出所や加工履歴といった来歴情報を確認できるようにすることで、データの品質を担保したうえでのデータ分析を可能にする。同技術を使えば、GDPR(一般データ保護規則)の要件である本人同意が得られているかどうかも確認でき、個人データの利用も容易になる。

 ChainedLineageは、2つの技術からなっている。1つは、複数企業によるデータの生成・加工履歴を統合する技術。各社が保有するデータの加工履歴と、ブロックチェーン上で共有する企業間データの取引履歴を、ハッシュ値を介して統合することで、他社でのデータ加工履歴を確認できるようにする(図1)。加工履歴は企業をまたがってチェーン状に統合されるため、データ利用者は、データの出所にまでまでさかのぼって、データの信頼性を確認できるという。

図1:データ加工履歴をデータと共に受け渡し、その取引履歴をブロックチェーンに記録する。それぞれのハッシュ値を利用することで、データの出所までさかのぼって加工履歴を調べられる

 もう1つは、複数の個人データを条件を指定して一括で取得する技術である。富士通のデータ流通基盤「富士通VPXテクノロジー」上に、個人データの利用を許可する「同意ポータル」を用意し、利用が許可された個人データをブロックチェーンでつながった企業が利用できるようにする。アクセス管理プロトコルの標準である「UMA2.0」を用ることで、本人が同意済みかどうかを確認したうえでデータへのアクセス権を与える(図2)。このアクセス権に、性別や年齢層など条件を関連づけることで、条件に合った利用許可済の個人データを一括で取得できるようになる。

図2:ユーザーが個人データの利用を許可する統合ポータルである「同意ポータル」で利用許可を集め、アクセス許可を一元管理する

 今後は、まず利用許可が得られている個人情報を一括取得できる技術を、富士通のデータ活用のクラウドサービス「FUJITSU Intelligent Data Service Virtuora DX データ流通・利活用サービス」の拡張機能として2018年度中の実装を目指す。ChainedLineageは2019年度の実用化に向けて今後、実証実験を実施する予定である。