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病院内のトイレなどをAIで見守るサービス、凸版印刷が開発
病院内のトイレなど個室における転倒などの状況を可視化できる見守りサービスを凸版印刷が開発した。緊急時に早期に発見できるよう、複数のセンサーとAI(人工知能)を活用する。医療機器との電波干渉を防ぐために、帯域が異なる通信規格「ZETA」を使用する。2019年1月10日に発表した。
凸版印刷が開発した見守りサービスは、医療施設内でも特に目が行き届きにくい、トイレやシャワー室、風呂といった個室を対象にしたもの。個室内に人感センサーや開閉センサーなどを組み合わせて設置し、利用者の動きや扉の開閉状況から、転倒などの状況を検知する。
センシングには、プライバシーに配慮したIoT(Internet of Things:モノのインターネット)技術を採用した。カメラやサーモグラフィなどを使わず、個人情報を取得しないセンサーを複数組み合わせている。
検知した情報はクラウドまたはオンプレミス上に蓄積し、ナースステーションなどに設置したPCから確認できる(図1)。外からの状況把握が困難な個室における患者の体調急変につながるインシデントや個室の長時間利用を把握する。
緊急時に早期発見できるよう、AI(人工知能)を活用する。車椅子の利用などが多い医療施設内の個室環境に対応し、緊急時の検知パターンを蓄積しAIに学習させることで、サービスの精度を高める。
院内にある医療機器との間で電波干渉を起こさないよう、通信規格「ZETA」を使用する。ZETAは、LPWA(Low Power Wide Area:省電力広域無線通信技術)ネットワーク規格の1つ。医療機器などが使うことが多い通信帯域(2.4G/5G)とは異なる920MHzの帯域で通信する。
ZETAを使うことで、電波干渉を回避でき、安定した無線通信が可能になるとしている。施設の奥まった箇所や地下など電波が届きにくい場所に対しては、中継機を用いることで施設全体をカバーできるという。
本サービスの実証実験を、埼玉県総合リハビリテーションセンターの個室トイレで2019年1月初旬から開始している。実験には医療機器の輸入・販売を手掛けるメッツが協力する。実証実験を経て、実サービスとして2019年春から提供する予定である。