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最大352kbpsのデータ通信と同時通話が可能な船舶向け衛星通信サービス、KDDIが開始

DIGITAL X 編集部
2019年1月29日

船舶向け衛星通信における高速サービスをKDDIが2019年2月1日から順次開始する。最大352kbpsのデータ通信と3回線の同時通話に対応する。データ通信速度は今後1.4Mbpsまで高める予定である。2019年1月21日に発表した。

 KDDIが提供する「Certus350」は、米Iridium Communicationsの衛星通信サービス「イリジウムCertus」を基にした船舶向けの通信サービス。データ通信速度を従来の衛星通信サービスより高めた。

 具体的には、船と陸の相互間で最大352kbps(ベストエフォート型)のIPデータ通信に対応。2019年7月頃には704kbpsに、その後に1.4Mbpsにまで増速する予定である。帯域確保型のストリーミングデータ通信も2019年10月頃からオプションで提供する予定で、通信速度は14.4/28/40/96/128/168/256kbpsを設定できる。

 地球全域をカバーする低軌道周回衛星を用いることで、北極海航路を進む船舶や航空機、南極大陸の基地設備でも利用できる。地上から衛星までの距離が780kmと、静止衛星に比べて近いため、音声やデータの送受信の遅延を低減できる。通話は最大3回線が同時に使用できる。通話品質が携帯電話並みにクリアで安定的になるよう、高品質の音声コーデックを採用する。

 さまざまな端末を接続して船内ネットワークを構成できる(図1)。対応のアンテナ端末は、小型・軽量・安価になり故障も低減できるという。周回衛星のため衛星追尾が不要なことから、通信アンテナに駆動部の取り付けが不要になるためだ。

図1:船内ネットワーク構成例

 サービスはまず、2019年2月1日から外国籍船向けに提供し、日本籍船へは2019年10月頃から提供する予定。今後、陸上や航空機向けにも段階的に提供するとしている。料金プランは、含まれる無料データ量の別に0MB/50MB/100MB/250MB/1GB/5GB/10GBの7プランを用意する。料金の詳細は要問い合わせ。船員個人向けのプリペイドカードサービスも提供し、対応データカードを2019年下期から提供する予定である。

 なおCertusは「GMDSS」(Global Maritime Distress and Safety System:世界海洋遭難安全システム)の対象として2020年に正式認定される予定だ。総トン数300トン以上の外航商船や旅客船は指定された遭難・非常通信手段としてGMDSSを確保しなければならない。