• News
  • 共通

顔データも含むコミュニケーション行動を解析するためのデータセット、NEDOと東京電機大が公開

DIGITAL X 編集部
2019年2月14日

コミュニケーション行動を分析するためのデータセットをNEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)と東京電機大学が2019年2月7日から公開している。グループディスカッション時の表情といった顔データを含むのが最大の特徴で、世界初という。2019年2月6日に発表した。

 NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)と東京電機大学が公開したのは、グループディスカッションにおける発言や顔の表情、腕の上げ下げなどジェスチャー、視線などのデータセット(コーパス)である(図1)。円滑なコミュニケーションを支援するAI(人工知能)の研究開発や、コミュニケーション能力を高めるための研究などに利用できる。機械学習を用いた行動認識システムの学習データとしても使える。

図1:学生の行動とコミュニケーションスキルの間の科学的な因果関係

 コミュニケーション行動の分析で重要な要素となる、表情や視線などの顔データを含むのが最大の特徴。発言やジェスチャー、視線などの行動に対してラベル(アノテーション)を付与しているため、会話分析にも利用できる(図2)。

図2:グループディスカッションを記録したデータセットの例

 DVDに収録して提供されるデータセットは、東京電機大学の2年生6人による議論と、社会人6人による議論、それぞれ2セッションの合計100分のグループディスカッションの内容を収めている。

 各ディスカッションでは、個人の振る舞いを正面から観察するためのカメラを3台、ディスカッションの様子を俯瞰するカメラを1台、360度のパノラマ画像を撮影するカメラを1台、着座位置や顔の向きを見るためのカメラを天井に1台、それぞれ配置して撮影した。

 これら複数のカメラで同時撮影したデータにより、多方向からのコミュニケーション観察ができる。加速度・角速度センサーを参加者の頭部と胸部、両腕部の計4カ所に装着し、体の動きや姿勢などのデータも収録した。

 音声はヘッドセットマイクで収録している。個人ごとに収録しているため、参加者個々の発言を選択して分析できる。

 より多くのデータセットを継続的に収集するためのグループコミュニケーション研究コンソーシアムを2019年2月1日に設立した。全国の研究機関から同一のデータ収集規格により分散データを収集・公開する。東京電機大学のほか、東京農工大学や湘南工科大学、豊橋技術科学大学など全国10以上の大学の研究者が賛同している。他の研究教育機関からの参画を呼び掛ける。