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東京・秋葉原にレジなし・キャッシュレスのカフェ、クラウドインテグレーターのクラスメソッドが技術検証兼ね開店
注文や支払いはスマートフォン用アプリケーションに限定し”レジなし・キャッシュレス”のカフェが東京・秋葉原にオープンした。AWS(Amazon Web Services)などを使ったシステム構築などを手がけるクラスメソッドが、データ分析を含めた関連技術を組み合わせ実現し、実際に店舗運営する。最新技術で、どのような顧客体験を提供できるかを提示・検証していく。2019年2月12日に発表した。
クラスメソッドが東京・秋葉原に開店した「Developers.IO CAFE」は、レジなし・キャッシュレスで運営するカフェ。スマートフォン用アプリケーションを使って注文・決済する。物販エリアを併設し無人店舗における買い物体験もできる。
注文・決済をスマホアプリに限定することで、列に並ばずに注文したり、支払い時に列の後ろにいる人に気を使ったりがなくせるとする(図1)。店舗にとっても、開店前に釣り銭を用意したり閉店後の精算処理などが不要になり運営負荷を軽減できるとしている。
顧客は来店前に注文し、来店後すぐに商品を受け取ることも可能になる。GPS(全地球測位システム)やビーコンを組み合わせて来店を予測すれば、よりタイムリーにサービスを提供できる。商品を持ち帰る顧客には、店内のデジタルサイネージで自分の注文がどのステータスにあるかを表示したり、チェックイン機能により即座に商品を提供したりも可能になる。
時間帯に応じてメニューを調整したり、顧客ごとに異なる値付けや特別なサービスの提供などを柔軟にコントロールできる。これらの仕組みにより、ロイヤリティの高い顧客との関係を構築できるとしている。
併設する物販エリアでは、レジのない「ウォークスルー決済」ができる。スマホアプリをかざしてチェックインし、商品を持ってエリア外に出れば決済まで完了する(図2)。店内には各種センサーを設置しており、どの顧客がいつどの商品を手に取って持ち去ったかを把握している。顧客ごとに動線の確認、カゴ入れ、カゴ落ち、購入などを判定しているからだ。
データに基づく各種マーケティング活動にも対応
各種データは、クラウド側で総合的に管理する。手に取ったものの実際には購入しなかった商品に対し、退店後にクーポンや詳細情報を通知し店舗外での購入をうながしたり、詳細履歴を基に顧客をセグメント化し、それぞれに適したキャンペーンをスマホアプリで実施し、その効果を測定したりなど、各種マーケティング施策にも対応している。
Developers.IO CAFEでは、スマホアプリのデータに加え、実店舗内での各種データが取得できる。オンラインとオフライン双方のデータを使った顧客関係を構築でき、路面店以外の立地が良くない店舗でも、購買単価や来店頻度を上げられるとみる。データに基づく店舗運営により本部が改善を図れば少人数で店舗を運営できるとしている。
Developers.IO CAFEのオープンに当たりクラスメソッドは、ウォークスルー決済を実現するための専用ハードウェアも開発している。商品棚に設置したセンサーで収集したデータをクラウドに送るためのは小型のエッジサーバーだ。複数センサーから得られるデータの一次加工や、WiFi/Bluetoothといった通信方法の選択、センサーの死活監視などの機能をもっている。これにより既存の店舗什器を利用できたとしており、これをテンプレートにした量産も視野に入れる。
「Developers.IO」は、同社の技術者が各種の技術ノウハウを対外発信するために運営している「やってみた系技術ブログ」(同社)。今回のカフェは、同様の発想に基づく「やってみた系店舗運営」(同)として運営し、技術によって実現できる実サービスに関するナレッジを発信するための拠点になる。
今後は、周辺オフィスへの宅配やEC(電子商取引)との連携、イベントやワークショップへの送客、友人へのメッセージ付きギフト、クレジットカード以外での決済、サブスクリプションによる飲み放題対応なども実現する予定だ。
加えて、クラウド型コールセンターを導入し、混雑状況や在庫確認などに対し店舗のリアルタイムなデータに基づく自動応答も実現するほか、注文傾向の分析やセンサーによる在庫状況の確認による食材の自動発注を可能にする。これらの施策により、現場を含めたIT活用ノウハウを蓄積し、自社サービスの付加価値を高める。カフェ以外の業態に向けた店舗運営の改善やサービス向上につながるような運営にも取り組むとしている。
Developers.IO CAFEの営業時間は月曜日から金曜日の10時~18時。コーヒーや紅茶、カフェラテなどの飲み物と菓子類を提供する。