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法人向けオープンバンキングによる2ケタ成長を多くの銀行が期待、米アクセンチュア調査

DIGITAL X 編集部
2019年2月19日

世界の大半の銀行が法人向けオープンバンキングサービスを計画し、その多数が収益の2ケタ成長を予想していることが、米アクセンチュアの調査で分かった。法人顧客も同サービスに期待しているという。同社日本法人が2019年2月7日に発表した。

 米アクセンチュアが発表したオープンバンキングに関する調査レポートが『It’s Now Open Banking,Do You Know What Your Commercial Clients Want From It?(オープンバンキングの時代:法人顧客の期待)』だ。グローバル銀行と、彼らの法人顧客になる企業の経営幹部750人超を対象に、米英中など11カ国で2018年9月に実施した。

 オープンバンキングは、銀行が管理するデータに外部のWebサイトやアプリケーションからアクセスできるよう、API(Application Programming Interface)を開放する仕組み。法人顧客は自社の財務データを銀行や第三者の企業と安全に共有でき、資金の移動や金融商品の比較などを容易にする。

 同調査によれば、大手銀行の90%が、法人向けにオープンバンキングサービスを提供する予定だ。同サービスにより、大手銀行の54%が最大10%の収益増を、同35%が最大20%の収益増をそれぞれ期待する(図1)。

図1:法人向けオープンバンキングサービスの提供により、今後3〜5年間に銀行が期待する収益増の割合

 大手銀行の90%が同サービスへの投資をすでに開始しているか、2019年中の開始を予定している。具体的には、オープンなプラットフォームの構築や、第三者企業によるサービスの提供、オープンバンキング活用方法の模索などである。投資規模については、71%の大手銀行が最大2000万ドル、24%の大手銀行は2000万ドル以上としている。

 一方、法人顧客の多くが、一般消費者と同様のサービスを望むと回答した。オープンバンキングのエコシステムを活用する最大の利点として、利便性が高く革新的なバンキングサービスにアクセス可能になることを、大企業の経営幹部の30%、中小規模企業の経営幹部の23%が挙げている。法人顧客の35%が、すでにオープンバンキングのプラットフォームに参加済みで、さらに42%が2019年中に参加する予定である。

 オープンバンキングへの期待としては、より多くの顧客やパートナーにアプローチできる点を、大企業の19%、中小規模企業の25%が挙げ、プロセスの最適化という点を大企業の17%、中小規模企業の20%が挙げた。取引銀行との連携が最も強化できる業務範囲については、大企業も中小規模企業も「決済」「融資」「キャッシュマネジメント」と答えている。

 なおオープンバンキングにおいて好ましい提携相手としては、大企業では72%、中小規模企業では65%が、現在の取引銀行を挙げる。ノンバンクのデジタル企業を選ぶと回答した法人顧客は15%にとどまった。

 米アクセンチュアの銀行グループの責任者であるAlan McIntyre氏は「伝統的な銀行は、オープンバンキングでの主導的地位をいち早く確立するために、プラットフォームエコシステムを取り込んだ、新たなビジネスモデルやオペレーティングモデルを採用することが重要だ」とコメントしている。