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蘭HEREが位置情報を扱うAIの研究所をウィーンに設立

DIGITAL X 編集部
2019年2月28日

位置情報プラットフォームを手掛ける蘭HERE Technologiesは、位置情報データを扱う機械学習の研究所をオーストリアのウィーンに設立する。自動運転や移動サービスなどの実現に必要な位置情報を研究する。2019年2月14日(現地時間)に発表した。

 蘭HERE Technologiesがウィーンに設立するのは「IARAI(Institute for Advanced Research in Artificial Intelligence:人工知能先端研究所)」。位置情報データを産業界規模で扱うための機械学習技術を研究する。

 一般にAI(人工知能)アルゴリズムは、膨大な数のデータポイントから複雑なパターンを抽出し、その過程で自己修正やパターンを学習する。IARAIでは、こうしたアルゴリズムを位置データに適用し、産業界や社会が抱える位置情報に関する課題に取り組む。

 具体的には、自動運転車両のための位置認識の強化や、自己修正型地図の高精度化、予測渋滞情報モデルの改善、フリートマネジメント(業務用車両向けの運行管理サービス)や都市インフラの最適化などである。

 IARAIを指揮するのは、ヨハネス・ケプラー大学のSepp Hochreiter博士とウィーン天然資源大学のDavid Kreil博士の2人。Hochreiter博士は、AIのパイオニアであり、LSTM(long short-term memory)ニューラルネットワークの枠組みを考案、Kreil博士はデータサイエンスの第一人者である。世界中から人材を募集し、まずは約30人の研究チームを構成する。

 HEREは今後5年間に、IARAIの施設や研究職に対する資金などとして2500万ユーロ超を支出するほか、独自のデータセットと専門知識を提供する。HEREのCTO(最高技術責任者)であるPeter Kurpick氏は「IARAIでは、当社が持つデータやマッピングに関する資産を活用したディープラーニング(深層学習)や大規模な実験に注力することで、ニューラルネットワークによる位置情報の再構築に対する理解を深め、次世代位置情報サービスの促進を目指す」とコメントしている。