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長距離運用ができるドローンを使った業務別ソリューション、KDDIが提供へ

DIGITAL X 編集部
2019年3月18日

長距離を運用できるドローンを使った用途別ソリューションをKDDIが2019年6月から順次開始する。ドローンの機体提供から運航管理までを用意し、ドローンによる各種業務を包括的にサポートする。2019年3月6日に発表した。

 KDDIが始めるのは、ドローンを使った広域監視や点検、測量などを実行するための仕組み。ドローンの飛行を監視・制御する基盤システム(プラットフォーム)を用意し、機体やドローンとの通信、気象/地図情報、運航管理などを包括的に提供する(図1)。

図1:用途別ソリューションと基盤システムの種類

 用途別ソリューションとして用意するのは、(1)広域監視、(2)鉄塔点検、(3)風力点検、(4)測量解析、(5)精密農業の5分野。広域監視では、鉄道や道路などのインフラを災害時などにドローンで巡回し現状を確認する。被害状況の確認や復旧可否の判断を支援する。ドローンの飛行ルートの設定や飛行指示、飛行中のドローンからの映像確認を、監視センターから一元的に実施する(図2)。

図2:広域監視へのドローン利用のイメージ

 鉄塔点検では、鉄塔の周囲をドローンで飛行して鉄塔の3Dモデルを作成。同モデルで点検箇所を指定すれば、ドローンが指定した角度と範囲を撮影する。データは自動的に管理し点検レポートを作成する(図3)。

図3:鉄塔点検へのドローン利用のイメージ

 風力点検では、風力タービン(風車)の周囲をドローンで撮影し、位置や高度の情報からデータを管理しレポートを作成する。点検作業の効率と安全性を高める(図4)。

図4:風力点検へのドローン利用のイメージ

 測量解析では、ドローンによる測量データの収集と、測量専用ソフトウェア「Wing Earth」(アイサンテクノロジー製)による大規模3D点群データ処理・解析により、さまざまな施工管理システムに対応した結果を出力する(図5)。Wing Earthは、国土交通省が推進する「i-Construction」に対応している。

図5:測量解析へのドローン利用のイメージ

 精密農業では、葉色分析サービス「いろは」(スカイマティクスが提供)による農作物の生育管理と、農薬散布サービス「はかせ」(同)と連携し、ドローンの自律飛行による効率的な散布ルートでの適所散布を可能にする。

図6:精密農業へのドローン利用のイメージ

 これらの業務ソリューションを実現するために、KDDIはドローンの飛行を監視・制御する基盤システムを開発し、実証実験に取り組んできた。同基盤では、モバイル通信網を使ってドローンを制御することで、長距離の飛行を実現している。KDDIでは、この仕組みで運用するドローンを「スマートドローン」と呼ぶ。

 スマートドローンの通信は、無線局免許が不要な通信に加え、4G LTEのモバイル通信に対応。クラウドとの連携や遠隔監視/制御を可能にしている。機体は、用途別に用意する。

 ドローンの飛行可否を判断するための高精細な上空気象予測や、ルート設定時に飛行高度を自動設定するための3D地図も提供する。運航管理では、自律飛行の計画作成から、飛行時の運航状況やカメラ映像の監視、機体やカメラなどの遠隔制御に対応する。