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アジャイル型のソフトウェア開発が日本の大企業で拡大中、ガートナー調査
日本の大企業の7割がアジャイル型のアプリケーション開発を採用または採用予定――。こんな状況が、米ガートナー日本法人の調査で分かった。中堅・中小企業を加えても、アジャイル型や反復型の開発手法が拡大するとみている。2019年2月21日に発表した。
米ガートナー日本法人は、アプリケーション開発の手法を大きく3つに分類している。(1)ウォーターフォール(WF)型、(2)反復型、(3)アジャイル型である。WF型は、明確で固定的な要件を扱う従来型の手法。反復型は、段階的WFを基に、各段階または反復の後にフィードバックを返す明示的な機会を追加する手法で、要件の不備を早い段階で検出して解決を図る。アジャイル型は、一定の期間とリソースを使用してデリバリーを計画する手法である。
調査結果によれば、2000人以上の大企業ではアジャイル型を「採用中」の割合が40%弱あり、「未採用:採用予定あり」の割合も30%だった。合わせて70%程度の大企業が、アジャイル型を採用中あるいは採用予定の段階にある(図1)。
中堅・中小企業を加えた全体では、アジャイル型の採用中/仕様予定の割合は30%(「採用中:継続/拡大」15%、「採用中:縮小」2%、「未採用:採用予定あり」13%、図2参照)である。大企業の同70%という回答からはアジャイル型への関心の高さがうかがえる。
ガートナーは、大企業の場合、業務領域が広くプロジェクト数も多いことから、業務特性に応じて一部の領域にアジャイル型を採用するケースがあるが、「未採用:採用予定あり」の割合の高さを加味すれば、環境の変化が激しい時代にWF型のみでは対応が難しいという大企業の危機意識が表れているともとらえらえるとしている。
現在採用している開発手法としては、WF型が43%(継続/拡大28%、縮小15%)で最も多く、アジャイル型は17%(継続/拡大15%、縮小2%)、反復型が16%(継続/拡大15%、縮小1%)だった(図2)。大企業に限ればWF型を「採用中」とする割合は86%に上るものの、「採用中:縮小」の割合が35%あり、WF型を縮小する傾向にある。今後の採用予定では、アジャイル型が13%、反復型は9%だった。
IT部門が関与しないビジネス部門主導の開発については、「採用中」の割合は14%と低い。ただ「採用中:継続/拡大」が9%、「未採用:採用予定あり」が6%あり、ビジネス部門主体の開発が増える傾向がうかがえる。
ガートナーによれば、モバイルアプリケーションの開発やRPA(ロボティックプロセスオートメーション)の実装をビジネス部門が主導する案件は増加傾向にある。ベンダーやSIer(システムインテグレーター)がビジネス部門と直接商談するケースも増えつつある。
今回の結果について、ガートナー日本法人のアナリストでシニアディレクターの片山 治利 氏は次のようにコメントしている。
「企業を取り巻く環境は不確実で変わりやすく、アプリケーションに対するビジネス部門の要求も変化しやすいため、アプリケーション開発では機敏で柔軟な対応が求められている。企業のアプリケーションリーダーは、新しい手法を積極的に研究し、採用する姿勢を持つ必要がある。品質やコストの課題を早期に解決し、自社のビジネスに積極的に貢献するアプリケーションを開発/デリバリーできる次元へと、IT部門は自らシフトしていく時期に来ている」
調査は、従業員20人以上の日本企業のITリーダーを対象に2018年4月から6月にかけて実施した。有効回答数は715件である。