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IoTデバイスの設計に必要なハードとソフトをGitHubで公開するプロジェクト、スターターキットも発売

DIGITAL X 編集部
2019年4月9日

IoT(Internet of Things:モノのインターネット)デバイスの設計に必要な情報をオープンソースとして提供するプロジェクト「Degu(デグー)」が始動した発足した。ハードウェア情報と、基本ソフト(OS)などのソフトウェア情報を公開。スターターキットを2019年4月10日から販売する。Deguに参加するアットマークテクノなどが2019年3月15日に発表した。

 「Degu(デグー)」プロジェクトは、IoT(Internet of Things:モノのインターネット)デバイスの設計に必要なセンサー技術などをオープンソースとして提供するもの。同仕様にそったIoT端末を「Deguセンサー」と呼ぶ。プロジェクトには、アットマークテクノ、中国Seeedの日本法人、コアスタッフのほか、蘭NXPの日本法人、太陽誘電、ノルウェーNordic Semiconductorの日本法人が参加する。

 Deguプロジェクトでは、Deguセンサーの設計に必要な回路図や部品表などハードウェアの技術情報と、基本ソフトウェア(OS)やドキュメントなどの開発情報をオープンソースとして公開する。公開場所は、ソフトウェア開発プロジェクトのバージョン管理を共有できるWebサービスのGitHubである。

 開発者は、センサーやアクチュエーターを200種類以上のモジュール群から選択して搭載できる。さまざまな機能を持つDeguセンサーの試作が容易になる(図1)。

図1:IoT端末「Deguセンサー」の構成イメージ

 Deguセンサーで取得したデータは、パブリッククラウドのAWS(Amazon Web Services)が提供する機械学習や深層学習(ディープラーニング)、BI(ビジネスインテリジェンス)などのサービスを使って利用することを想定している。AWSから各デバイスを認証するための証明書(秘密鍵)を安全に保管する「セキュア・エレメント」技術にも対応する。

 AWSへの接続に向けては、機器同士がつながって通信する「メッシュネットワーク」に対応する(図2)。メッシュネットワークに対応した省電力無線IP通信規格「Thread」の通信モジュールをDeguセンサーに搭載して実現している。

図2:Deguセンサー上で前処理したデータをメッシュネットワークを介してクラウドに送信する

 センサーが取得したデータの前処理の一部をセンサー本体で実行できる。SoC(システムオンチップ)を利用した簡易なエッジコンピューティング機能を持つからだ。Python系のスクリプト言語を使い、取得したセンサーデータのしきい値を判定したり平均化したりができる。データの取得タイミングなどをプログラムとして設定することも可能だ。

 Deguセンサーのスターターキットを2019年4月10日に発売する。アットマークテクノとSeeedが共同開発し、Seeedがセンサーやアクチュエーターの各種モジュールを提供する。アットマークテクノは、Deguセンサーのデータをクラウドに転送するためのIoTゲートウェイも提供する。

 さらにDeguセンサーの量産向けカスタムオーダーサービス「Degu量産設計サービス」をSeeedとコアスタッフが提供する予定だ。センサーの種類など指定内容に従って基板を再設計するサービスで、ROMへの書き込みやキッティング状態なども含めた量産を受け付ける。サービス利用者は、PoC(概念検証)から製品化までをDegu仕様で実現できる(図3)。

図3:「Degu量産設計サービス」では試作・開発から量産・製造までに対応する

 なおコアスタッフは、スターターキットなどDeguに関する各製品の販売も担う。太陽誘電はDeguセンサーに搭載するThread通信モジュールを、NordicはDeguセンサーに搭載するThread対応のSoCを、NXPはセキュア・エレメントをそれぞれ提供している。