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製造機械の振動から稼働状況を可視化するサービス、NTTドコモが中小製造業に向けて提供
製造機械の振動を計測した結果から機械の稼働状況を可視化・分析するサービスの提供をNTTドコモが2019年4月8日から始めている。中小の製造業を対象にする。2019年4月8日に発表した。
NTTドコモが2019年4月8日に開始した「docomo IoT製造ライン分析」は、IoT(Internet of Things:モノのインターネット)を使って製造ラインの稼働状況をリアルタイムに可視化・分析するサービス。加速度センサーで機械の振動を測定するため、対象機器を問わずに利用できる。中小製造業の生産性改善や人手不足解消などに利用できるという。
サービス開始前に、ある薬品メーカーで実施した実証実験では、製造機械の生産数量や稼働状況の分析により約10%の生産能力向上を確認した。自動車関連部品メーカーでの実証実験では、従来の人手による機械稼働率計測結果に対し、実際には稼働率が約20%低いことが判明。製造時間の短縮余地があることが確認できたとしている。
すでに大草薬品がサービスを導入することを決めている。横浜銀行と京浜急行電鉄、NTTドコモの3社が「三浦半島地域の経済活性化に向けた連携と協力に関する協定」に基づき、ドコモが横浜銀行とのビジネスマッチング業務契約を締結した結果だ。
docomo IoT製造ライン分析は、(1)「稼働データ収集キット」、(2)「稼働可視化・分析システム」、(3)「課題特定・打ち手提案」の3つのシステムからなっている(図1)。稼働データ収集は、加速度センサーで収集したデータをIoTゲートウェイを経由してクラウドへ送信する。
稼働可視化・分析システムは、製造ラインにおける生産数量の目標と実績をリアルタイムに可視化し、到達度を確認するための仕組み(図2)。製造品1個当たり機械稼働時間を可視化し、工程間の稼働時間比較によりボトルネック工程の特定を可能にする。
短時間の「チョコ停」や長時間の「ドカ停」など製造機械の停止や空転などが繰り返し発生している状態を検知し、停止状況をモニタリングできる(図3)。製造工程ごとの機械非稼働時間の可視化や、チョコ停/ドカ停の発生時間と回数を把握できる。
課題特定・打ち手提案は、データの分析結果を基に、生産性改善コンサルタントが課題を特定し改善策を提案するもの(図4)。2019年夏頃の提供開始を予定するオプションサービスである。
docomo IoT製造ライン分析の利用料金は、センサー数が5個の場合、初期費用(稼働データ収集キット・設置作業費)が25万円、月額利用料(稼働可視化・分析システム)が3万円。センサーが10個になると初期費用は40万円で、月額利用料は5万円になる。オプションの課題特定・打ち手提案は個別見積もりである。