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グローバルなIoTシステムを構築できるeSIM対応の無線通信サービス、NTT Comが開始

DIGITAL X 編集部
2019年4月16日

グローバルに展開するIoT(Internet of Things:モノのインターネット)システムを構築するための無線通信サービスを、NTTコミュニケーションズ(NTT Com)が2019年4月15日に開始した。SIMの設定内容を遠隔から書き換えられる「eSIM」に対応した。eSIMの実用化は国内MVNO(仮想移動体通信事業者)として初めてという。2019年4月9日に発表した。

 NTTコミュニケーションズ(NTT Com)が2019年4月15日に提供を開始した「IoT Connect Mobile」は、グローバルに展開するIoT(Internet of Things:モノのインターネット)システムの構築に使える無線通信サービス。複数の無線通信業者と接続しており、日本を含む世界196カ国/地域で利用できる。

 遅延を抑えた通信を提供するために、グループ会社である仏Transatelが有するアジア・北米・欧州の3つのゲートウェイを使い、利用者に最も近い設備を経由する仕組みを持つ。

 利用各地で最適なスペックや料金を選択できるように「eSIM(embedded Subscriber Identity Module)」を採用した。通信プロファイル(通信業者、電話番号、契約内容などの情報)を、SIMカードを差し替えず遠隔で書き換える(図1)。より低価格な通信業者に切り替えたり、ローミングが規制されている国では現地の無線通信業者を利用したりが可能になる。eSIMのため、IoT機器の工場出荷に利用国に合わせた事前設定が不要になる。

図1:SIMの設定内容を遠隔から書き換えられる

 SIMには、取り外し可能な「Plug-inタイプ」と、振動や衝撃への耐性が高い組み込み用の「Chipタイプ」の2種類がある。いずれのタイプにも、温度耐性や書き込み耐性を強化した「インダストリアルグレード」を用意する(表1)。

表1:提供するSIMの種類
タイプPlig-inタイプChipタイプ
サイズ規格3 in1 2FF/3FF/4FF(通称mini/micro/nano)MFF2
特徴1つのパッケージで3つのサイズに対応可、取り外し可能小型(5mm×6mm)、振動耐性・衝撃耐性が高い、製造段階で製品に組み込める
提供グレードノーマル/インダストリアルノーマル/インダストリアル

 SIM上には、Javaアプレットを実装できる。Javaアプレットは、他のアプリケーションに組み込むためのJava言語で書かれた小さなプログラムで、用途に合わせた機能拡張ができる。

 たとえば、セキュリティを重視するなら、SIMカードの改ざん耐性を生かし、アプレット領域に暗号鍵を格納すれば通信データのセキュリティレベルを高めたり、IoT機器の改ざん検知機能を付加したりができる。

 契約する全SIMの利用状況などをダッシュボードで視覚的に把握できるWebポータルも用意する(図2)。SIMの追加発注や、回線単位での利用休止/再開なども操作できる。利用企業によるカスタマイズも可能で、SIMごとの通信容量や速度などを容易に設定できるとしている。これらの機能はAPI(アプリケーション・プログラミング・インタフェース)としても提供し、他のシステムとの連携を可能にしている。

図2:Webポータルからは回線の休止や再開、通信容量変更などを設定できる

 IoT Connect Mobileの月額利用料金は、データ容量に応じた従量課金制で、1メガバイト当たり1円から利用できる。別途、初期費用が必要である。