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スマートシティの情報基盤にブロックチェーンを適用する実証実験、Azure上でJR東日本などが実施
スマートシティの情報基盤にブロックチェーン技術を適用するための実証実験をJR東日本、JR東日本情報システム、みずほ情報総研、日本マイクロソフトが実施した。クラウド環境を提供した日本マイクロソフトが2019年4月25日に発表した。
JR東日本らが実施したのは、スマートシティにおける交通分野のサービスを支えるための基盤の実証実験。交通機関の利用者が、移動にまつわる周辺サービスも利用でき、各サービスの検索から予約、支払いまでを一気通貫に扱えるように、ブロックチェーン技術を使って基盤の機能を構築しテストした(図1)。
交通分野のサービスは今後、MaaS(Mobility as a Service)に代表されるように複数の交通機関が連携しサービスを提供していくことが考えられている。そのため今回は、主な運輸業者だけでなく周辺サービスを提供する事業者も容易に参加できるよう、各種サービスは、オープンデータやオープンAPI(Application Programming Interface)を利用して連携を図る仕組みを用意した。
そのうえで、利用者が、いつ、どの交通機関を利用したかといった個人データを扱うためにブロックチェーン技術を活用した。個人データの改ざんと漏えいを防止し、金融機関に接続しての支払いにおける透明性を担保するためだ。
利用者の移動履歴は、参入事業者のだれもが検証できる。ただし、その検証によって特定の個人の行動が予測できてしまうことがないように、履歴は元のデータに戻せないハッシュ値に変換(ハッシュ化)して保存する。
新規参入者に対しても、特殊な機材の購入やアプリケーションの作成をしなくてもコンソーシアム型のブロックチェーンネットワークに参加できる。チケットを読み取るためのアプリケーションはスマートフォン上でも動作するため初期コストを抑えられるという。
実験に参加したのはJR東日本のほか、JR東日本情報システム、日本マイクロソフト、みずほ情報総研の4社。日本マイクロソフトが提供する「Hackfest」という短期集中型のトライアル開発の場を使い、各社の技術やノウハウ、サービスを集め1つのチームとして開発した。基盤自体は、米Microsoftのパブリッククラウド「Microsoft Azure」上に構築した。
Hackfestの仕組みを使ったことで、基盤に格納するデータの信頼性や、基盤のスケーラビリティや統合特性、管理性といった機能を実現し、それらの有用性を確認できたとしている。実験期間は、2019年1月21日から2月8日までである。
各社は今後、今回の検証結果を踏まえ、たとえば将来のMaaS(Mobility as a Service)における有効活用などを検討したい考えだ。