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水道インフラのデータ活用・流通をうながすIoTシステムの標準仕様、NEDOが公開

DIGITAL X 編集部
2019年5月29日

水道事業を運営するためのIoT(Internet of Things:モノのインターネット)システムを構築・運用するための標準仕様をNEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)が公開している。同システムを利用したい水道事業者に向けた導入の手引き案も用意する。2019年4月26日に発表した。

 NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)が公開しているのは、「水道情報活用システム」の標準仕様と導入手引き案。水道事業者が利用・運用するシステムを対象に、「水道標準プラットフォーム」の概念を導入し、同プラットフォームのインタフェースやデータ仕様を標準化することで、各種アプリケーションの充実や重複開発の削除、水道関連データの流通などを可能にする(図1)。

図1:“プラットフォーム”の概念を導入した「水道情報活用システム」の位置付け

 システムが対象にするのは、水道施設を管理・運用するための制御系と、料金徴収や会計処理などに使う事務系の双方。IoT(Internet of Things:モノのインターネット)やCPS(Cyber Physical System)の技術や概念を適用し、水道設備・機器にかかわる情報や、事務系データを、水道標準プラットフォーム経由で利用できるようにする。

 標準仕様では、本システムの全体構成や、データ流通のためのルールを定めている(図2)。具体的には、(1)識別子(ID)の付与・管理とアクセス制限、(2)識別子に基づく認証方式、(3)データをやりとりする手順、(4)現場の設備データの収集などを規定する。基本仕様書と、水道標準プラットフォーム外部仕様書など10の仕様書から成る。

図2:標準仕様の規定範囲

 一方の導入の手引き案は、水道事業者の職員が本システムの導入を検討する際の参考として作成したもの。システム概要のほか、アプリケーションの最適化やコスト削減などによる効果、業務の変革イメージ、導入手順などを説明している。

 水道事業においても、人口減少や少子高齢化などに起因する、水需要の減少やベテラン職員の高齢化、老朽設備の保守コストの増加など、種々の課題が発生している。標準仕様を定めることで、システム調達の簡易化や負担の軽減に加え、広域連携を検討する際のシミュレーションや、広域連携後の効率的な事業運営につなげたい考えである(図3)。

図3:標準仕様を導入することで広域連携に向けたデータ流通などを可能にする

 なお本システムは、NEDOが産学官の連携の下、開発した。大学の研究者などの有識者や、水道事業者、水道設備メーカー、水道業界団体、行政(経済産業省、厚生労働省)と連携し、2017年度~2018年度に開発事業を進めた。開発事業は、三菱総合研究所、NTTデータ、日立製作所に委託した。