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スタートアップ支援拠点「Google for Startups Campus」、東京・渋谷に2019年内に開設

志度 昌宏(DIGITAL X 編集長)
2019年6月19日

米Google日本法人は同社のスタートアップ支援拠点「Google for Startups Campus」を2019年内に東京・渋谷に開設する。世界で7番目の支援拠点になり、有望なスタートアップには6カ月間の特別支援策も用意する。2019年6月18日に発表した。

 2019年内に東京・渋谷に開設する「Google for Startups Campus」は、起業家や起業初期のスタートアップ企業を対象にしたGoogleの支援拠点。作業スペースやコラボレーションスペース、イベントスペースなどを持ち、Googleのエンジニアなどがサービス開発や組織運営などをアドバイスする。起業家やスタートアップ企業であれば利用できるという。

写真1:Google for Startups Campusのイメージ図

 有望なスタートアップ企業などに対しては「Residency Program」という特別支援策を用意する。Residency Programは、Googleが選考した企業に対し、Campus内の専用スペースを用意し、その企業のための製品開発支援などを6カ月間、提供するもの。選考は6カ月単位に実施され、基準には技術力のほか、「グローバルに成長できるかどうかを見る」(キム氏)。最初の選考は2020年初頭を予定する。

 東京のCampusは、英ロンドン、スペイン・マドリード、ブラジル・サンパウロ、韓国ソウル、イスラエル・テルアビブ、ポーランド・ワルシャワに続く、7番目の拠点。他拠点に比べ、「日本はロボティクスなどソフトウェアだけでなくハードウェアを含めたエコシステムが強い。同分野のスタートアップの利用を期待する」(キム氏)。加えて「女性起業家の支援についても有効に機能するはずだ」(同)という。

 女性支援の一例として、ソウルのCampusにおいて実施する「Campus for Mams」を挙げる。母親など働く女性を対象にした制度で、子供を育てながらの起業に向けた支援策を用意している。

 スタートアップ支援策の位置付けをGoogle for Startups Partnerships Managerのマイケル・キム氏は、「Googleもガレージ発のスタートアップだ。創業者や役員層は、スタートアップのマインドを持っており、次世代のスタートアップを支援することは使命である。本事業でのマネタイズは考えていない」と説明する。

 Campusが提供する機能は、(1)コネクション、(2)プロダクト、(3)Googleのベストプラクティスの3つ。コネクションは、世界7拠点を結んだ参加者達のネットワーク構築を指す。プロダクトはGoogleの各種サービスを使っての製品/サービスの開発の支援だ。ベストプラクティスはGoogleの企業文化など含めた成長のための考え方などだ。

 その成果として、世界のGoogle for Startups Campusからは2018年に、4550件の仕事、8億ドルの資金調達ができたとする。研修やメンターシップを受けた人数は1万4000人に上る。

 Campusが置かれるのは、渋谷駅南側に建設中の「渋谷ストリーム」。グランドオープン後にGoogle日本法人は同ビルに六本木から移転する。Campusは、その移転を待って開設することになる。

 ちなみに競合のAWS(Amazon Web Services)は、同種のスタートアップ支援拠点「AWS Loft」の東京拠点を2018年10月、同社が入居する目黒セントラルスクエアに開設している。Loftの開設場所は、米サンフランシスコ、米ニューヨーク、南アフリカ・ヨハネスブルグ、テルアビブと東京である。

 デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進において、日本政府のスタートアップ企業の育成に力をいれているほか、既存の大手企業もスタートアップ企業との接点を求めてコワーキングスペースに活動拠点を置くといった動きが活発で、大手町や日本橋などへの誘致も盛んだ。Googleの拠点開設で、スタートアップの獲得合戦は、さらに熱を帯びそうだ。