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企業のAI利用を支援する新拠点サービス「AI Lab」、PwC Japanグループが開設

DIGITAL X 編集部
2019年7月9日

企業のAI(人工知能)活用に向けた環境整備やリスク管理などを支援するための新拠点をPwC Japanグループが東京・大手町に2019年7月1日に開設した。AI利用を包括的に支援するのが目的だ。2019年6月6日に発表した。

 PwC Japanグループの「AI Lab」は、収益拡大やコスト/リスク低減に向けて企業がAI(人工知能)を活用するための支援サービスを提供する新拠点。東京・大手町に2019年7月1日に開設し、専任チームを配置した。

 AI Labが提供する支援策は、(1)AI活用に必要なシステム環境とデータ基盤の構築、(2)AIユースケースの棚卸しと優先順位付け、(3)AIを活用する風土の醸成と習熟度の向上、(4)AIに付随するリスクに対する意識の醸成、(5)AI活用に関する戦略やユースケースの検討セッション、の5つである。

 システム環境とデータ基盤の構築では、環境と基盤のロードマップを策定し、その実現を支援する。支援策としては、(1)既存システム環境の評価と、AI活用に必要なソフトウェアやツールの選定、(2)既存のデータアーキテクチャーや社内外データの有用性と質の評価、(3)既存のデータガバナンスの評価や、改善に向けた提案を用意する。

 ユースケースの棚卸しと優先順位付けでは、企業が持つAIアプリケーションのユースケースリストから優先的に導入すべきものを選定し、効果的に導入できるようにする。(1)データ必要条件を考慮したユースケースリスト(既存の、または新規)の評価、(2)ユースケースリストの優先順位付けに関するアドバイス、(3)導入したユースケースリストの管理へのアドバイスを提供する。

 風土の醸成と習熟度の向上では、AIを専門外とする従業員を含めて、AIに関するスキルを高められるようにする。(1)意思決定者や管理職、AI活用に関連する部門の従業員などを対象にしたAI活用に関する意識の評価、(2)それらの人員へのトレーニングプログラムの提案、(3)AIを活用する社員意識の醸成と、習熟を図るための仕組みやプロセスの提案を実施する。

 リスクに対する意識の醸成では、AIを全社的に利用するうえで、現在の法規制環境で発生し得るリスクへの意識の醸成を図るためのロードマップ策定を支援する。

 具体的には、(1)AIを活用したサービス/製品の開発チームや、そのサービス/製品の利用者、AI活用に関する意思決定者を対象に、AIに起因する現在のリスク(社会的リスク、倫理リスク、経済リスク、性能リスク、制御リスク、安全性リスク)を評価する、(2)AIに付随するリスクへの意識の醸成を図るための施策や基本方針を策定する、(3)リスクに対する方針とガイドラインの実施状況をモニタリングして統制するためのアドバイスを提供する。

 戦略やユースケースの検討セッションでは、AI Labの専任チームが、戦略立案やさまざまな業界に通じた専門家などと連携し、企業にとって最適なAI活用を検討するためのセッションを実施する。PwCの支援可能なユースケースを基にしたデモンストレーションも活用する。

 たとえば、(1)工場の生産性向上を図るためにIoT(Internet of Things:モノのインターネット)センサーや画像解析技術を用いる、(2)人事採用領域の業務効率化を図るために、OCR(光学文字認識)や自然言語処理技術を活用する、などだ。

 AI Labのメンバーは、監査やコンサルティング、税務など、PwC Japanグループの各部門から、AIやデータ分析で経験を有する専門家。世界各地のPwCがAI関連組織で構成するネットワークには500人を超えるAIや先端技術の専門家が所属しており、彼らのグローバル規模での知見にもアクセスできる。

 AI Lab専任チームは、各拠点が有するAIの実用化例を収集しながら、日本企業の支援に当たるという。