• News
  • サービス

センサー内蔵ボールなどを使い技術向上やケガ予防を可能にするスポーツ用IoT基盤、アクロディアとKDDIが提供

DIGITAL X 編集部
2019年7月10日

スポーツ選手の動きを測定するためのIoT(Internet of Things:モノのインターネット)基盤の提供を、アクロディアとKDDIが2019年7月9日から始めている。9軸センサを内蔵したボールなどを使ってデータを収集し、トレーニングやコンディション管理などに利用する。2019年7月1日に発表した。

 アクロディアとKDDIが提供する「athle:tech」(アスリーテック)は、スポーツを対象にしたIoT(Internet of Things:モノのインターネット)プラットフォーム。対応するIoTデバイスやウェアラブルデバイスなどを使って選手の動きなどをとらえ、技術向上のほか、ケガの検知・予防にも利用できる。特別な設備やトレーナーがいなくても、データを軸にした練習・育成が期待できる。

 athle:techは、対応するIoTデバイスを使って日々練習することで、球速など運動上の数値(テクニカルデータ)を自動で収集。体組成計などにより体組成や筋力、脈拍、心拍などの値(フィジカル/バイタルデータ)も集める。データは、スマートフォンやPCなどから閲覧でき、データに基づく最適なトレーニングやコンディション管理に向けた情報を提供する(図1)。

図1:スポーツIoTプラットフォーム「athle:tech(アスリーテック)」が取得するデータと提供可能なサービス

 情報の閲覧では、(1)公開、(2)共有、(3)ランキングの3つを提供する。公開では、自分のデータを、同じくデータを公開している人に公開したり、公開データに基づくオンラインコーチが受けられる。共有では、練習ノウハウや練習データを仲間やチームで共有できる。

 ランキングでは、全ユーザーの公開データに基づくランキングを表示する。身長別や年代別、同競技におけるランキングが確認できる。

 対応するIoTデバイスの第1弾として、硬式野球ボールのスペックに準拠した9軸センサー内蔵型ボール「TECHNICAL PITCH」(アクロディアが販売)を用意する(図2)。角速度・加速度・地磁気のセンサー(それぞれ3軸)を備え、Bluetooth 4.1で外部と通信できる。

図2:硬式野球ボールのスペックに準拠したIoTデバイス「TECHNICAL PITCH」のイメージ図

 TECHNICAL PITCHでは、回転数、回転軸、球速、球種、変化量、腕の振りの強さ、時間(構えてからリリースするまでの時間と、リリースされてからキャッチャーが捕球するまでの時間)を測定。計測時にスマートフォンのカメラで撮影した動画とも同期させられる。

 TECHNICAL PITCHで取得したデータからは、全ユーザーを対象とするランキングを表示する。野球競技人口における自分の技術の立ち位置を確認したり、投球技術上位者のランキングデータと比較することで今後に目指す位置を確認したりができる。自身やチームの成長の軌跡も分かる。なお、2019年7月9日時点でのランキング提供項目は球速と回転数のみ(図3)。順次、項目を追加する予定だ。

 TECHNICAL PITCHの価格は2万7500円(税別)。TECHNICAL PITCHを購入すれば、athle:techのサービスは無料で使用できる。

図3:球速や回転数を比較できるランキング機能の画面

 今後は、練習メニューのノウハウ共有や、AI(人工知能)による健康管理、ケガの予兆の検知といった機能を追加する。野球以外にも、ゴルフやクリケット、サッカー、バレーボールなどに対応したIoTデバイスを用意するほか、スマートウォッチなどのデバイスとも連携したバイタルデータ管理を可能にする。