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複数事業者のドローンが同時に飛ぶための運航管理システムの相互接続を実証へ、NEDOなどがAPIを公開

DIGITAL X 編集部
2019年8月1日

複数事業者のドローンが同じ空域で安全に飛行できるようにするための運航管理システムの相互接続に向けた実証実験が始まる。NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)などが運用するもので、すでに同システムのAPI(アプリケーションプログラミングインタフェース)を公開している。2019年6月28日に発表した。

 NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)が実証するのは、同一空域で複数事業者のドローンが安全に飛行できるようにするための運航管理システムの相互接続。福島県の南相馬市と浪江町にある研究開発拠点「福島ロボットテストフィールド」で、同システムのAPI(アプリケーションプログラミングインタフェース)を使った相互接続試験を2020年2月まで実施する計画だ。

 相互接続の実証実験に先立ち、APIの仕様書を2019年6月28日に公開。同APIのテストツールも同7月26日に公開しており、ドローン事業者は相互接続のためのソフトウェア開発が可能になっている。さらに同8月30日には、運航管理システムのサーバーを稼働させる予定で、運航管理システムのサービスを使っての動作検証も可能になる。

 公開したAPIは、NEDOのプロジェクトに参画していない国内外のドローン事業者が、福島ロボットテストフィールドでの運航管理システムと相互接続できるようにするためのもの。ドローン事業者が運用する運航管理システムと、NEDOらが構築する運航管理システムが持つ「運航管理統合機能」や「情報提供機能」との連携が可能になる(図1)。

図1:複数事業者のドローンが同一空域で安全に飛行するための運航管理システムと公開するAPIの概念

 運航管理統合機能は、複数のドローン事業者の間で、飛行計画やリアルタイムの飛行状況、飛行禁止空域など空域の安全に関する情報を共有するためのもの。

 情報提供機能では、地形や障害物、飛行規制エリアを含む3次元地図情報のほか、福島ロボットテストフィールドが持つ気象観測データの利用やリアルタイム風推定情報といった気象情報を提供する。すべてのドローン事業者が同一の情報を共有することで、情報の差による誤認識の発生を防ぐ。

 APIの公開では、NEDOのほか、NEC、NTTデータ、日立製作所、ゼンリン、日本気象協会と、福島県と南相馬市、福島イノベーション・コースト構想推進機構が協力している。相互接続試験は、NEDOと福島県が2017年11月22日に締結した「ロボット・ドローンの実証等に関する協力協定」に基づいて実施する予定で、将来的には国際標準への提案を見据えている。

 ちなみに福島ロボットテストフィールドは、ドローンや災害対応ロボット、水中探査ロボットなど陸・海・空のフィールドロボットを主な対象にした研究開発拠点。実際の使用環境を拠点内で再現しながら、研究開発や実証試験、性能評価、操縦訓練を実施できる。