• News
  • 共通

データからビジネス成果を十分に得ている日本企業は3%、ガートナー ジャパンの調査

DIGITAL X 編集部
2019年8月15日

日本でデータを全社的に利用している企業は20%にとどまり、データからビジネス成果を十分に得ている企業はわずか3%--。こんな状況が、ガートナー ジャパンの調査で浮き彫りになった。2019年5月27日に発表した。

 ガートナー ジャパンが実施したのは「社内におけるデータ利活用の取り組み状況」に関する調査。2018年10月~12月に、国内の従業員数20人以上の企業で情報システム部門の責任者などを対象に実施した。有効回答数は750件である。

 同調査によれば、データを全社的に利用している企業は全体の20%にとどまった。一部の事業・組織で利用している企業は36%。両者を合わせれば、半数を超える企業がデータ活用に取り組んでいることになる(図1)。

図1:データを全社的に利用している企業は20%、一部の事業・組織で利活用しているのは36%

 一方で、現時点でデータからビジネスに十分な成果を得られているかについては、「十分に得ている」はわずかにが3%。「ある程度得ている」の34%を加えても4割に届かない。データ活用によってビジネス成果を上げている企業は全体の約3分の1というのが実状だ(図2)。

図2:利活用可能なデータからビジネス成果を「十分に得ている」は3%、「ある程度得ている」は34%

 上記2項目の相関関係を調べてみると、データを全社的に利用している企業においては、ビジネス上の成果を十分に得ている割合が12%と、全回答者の割合と比べ4倍になる。これに対し一部の事業・組織で利用している企業における同割合は1%に減少し、両者以外の企業では0%だった。

 この傾向は、ビジネス上の成果を、ある程度得ている企業でも同様であり、逆に、あまり得ていない、全くまったく得ていないとする企業では傾向が逆転する(図3)。つまり、データの利用状況とビジネス上の成果には相関関係があると言えそうだ。

図3:データ利活用の状況(横軸)とビジネスへの成果(縦軸)の相関関係

 なお今回の調査では、ビジネス上の成果を得ているかどうかが、感覚的なものか定量的なものかを検証するために、成果を判断するための定量的な指標の有無も聞いている。結果としては、データを利用している企業やビジネス上の成果を得ている企業ほど、定量的な指標を定めていた。

 今回の調査結果について、ガートナーのアナリストでシニア プリンシパルの一志 達也 氏は次のようにコメントしている。

 「データを扱うスキルと経験を有する人材が組織全体にいなければ、データを利用する文化は醸成されにくく、十分な成果も得られないだろう。人材を確保・育成するためには、人事部門の協力を仰ぎながら、長期的/短期的に人材を確保する方法を計画し、文化醸成と人材育成の両面から取り組んでいくことが重要だ。ビジネス上の成果が得られているかどうかを確かめるためにも、現状を把握したり改善を実感したりするためにも、定量的な指標が必要だ」