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社員の過半数はモバイルメッセージングツールを日常的に利用、米ガートナーの調査

DIGITAL X 編集部
2019年11月1日

業務でデジタルテクノロジーを使っている正社員の58%が、リアルタイムにやり取りするモバイルのメッセージングツールを日常的に使っている−−。こんな調査結果を米調査会社のガートナーが発表した。これを背景に企業向けSNS(ソーシャルネットワークサービス)の市場も拡大するという。ガートナー日本法人が2019年10月8日に発表した。

 米ガートナーの今回の調査は、米国と欧州、アジア太平洋の地域で2019年3月から4月にかけて実施されたもの。対象は、調査基準を満たす従業員数100人以上の組織において、デジタルテクノロジーを業務使用する正社員、7261人である。

 調査結果によれば、対象者全体の58%が「リアルタイムのモバイル・メッセージング・ツールを日常的に使用している」と回答。45%は「ソーシャル・メディア・ネットワークを日常的に使用している」と回答した。

 こうしたツールによりデジタル化された働く環境である「デジタル・ワークプレース」について、ガートナーのアナリストでバイス プレジデントのJeffrey Mann氏は「2つのトレンドが見られる」とする。

 1つは、「デジタル・ワークプレースは、デジタルトランスフォーメーション(DX)の成功に不可欠である」との認識が高まっていること。「組織のデジタル変革に向けた取り組みを推進するのは現場の従業員だから」(Mann氏)だ。

 もう1つは、コラボレーションを容易にする機能が強化されていること。クラウドや動画配信、AI(人工知能)、新たなデータ分析方法などを活用したデジタル・ワークプレースが構築できるようになってきた。

 ただ、「多くの従業員が新たなスキルと規範に関する助言やサポートを得られずにデジタル・ワークプレースへの関与や意欲を欠いた状態で、デジタル・ジャーニーに踏み出しても、行き詰まりや後れが生じる危険がある」とJeffrey Mann氏は指摘する。

 それでも、デジタル・ワークプレースに向けたソーシャル・ソフトウェアとコラボレーションツールの世界市場は2018年に27億ドル(約2943億円。1ドル109円換算、以下同)と見られる。これが2023年までに48億ドル(約5232億円)規模へと拡大する見通しだ。

 その背景には、世界のナレッジワーカーの増加がある。世界のナレッジワーカー数は2023年までに11億4000万人にまで増え、その5分の4以上を新興国が占めるとガートナーは予測する。

 デジタル・ワークプレースのために同期/非同期のチャットを利用するツールをガートナーは「ワークストリーム・コラボレーション」と呼ぶが、同分野の先駆的ツールが「Slack」だ。同市場には米Microsoftと米Googleが参入し、クラウド型オフィススイート製品には、ワークストリーム・コラボレーションがバンドルされ始めている。

 コラボレーションツールの代表例は、従業員コミュニケーションや会議システムである。同市場は、多数のサブマーケットに断片化しており、多くは互いに競合していない。導入の意思決定は、サブマーケットごとになされており、各サブマーケットに支配的な企業が登場したり、企業が新規参入したりする可能性があるとする。

 ガートナーのアナリストでバイス プレジデントのCraig Roth氏は「市場は現在、勝者が独り勝ちする状況にはなく、規模拡大につながるイノベーションの機会が、それぞれのサブマーケットに存在する。今後は、ソーシャル分析や、仮想パーソナル・アシスタント(VPA)、スマートマシンといった新機能が利用されるようになるだろう」とみている。

 さらに、企業向けアプリケーションベンダーの60%近くが、2023年までに何らかのソーシャル・ソフトウェアおよびコラボレーション機能を自社のソフトウェア製品群に組み入れると予測する。

 「プライベートでよく使うツールを仕事でも使うデジタルワーカーが多い。リアルタイムのモバイルメッセージングやSNSは、ファイル共有ツールと同じように企業でよく利用されている。これらのツールを使うことで、従業員のプライベートな経験と業務での経験が効果的に融合される」とRoth氏は話す。