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トヨタ生産方式に沿って受注から出荷までの農・畜産業を管理できるクラウドサービス、トヨタ自動車が提供へ

DIGITAL X 編集部
2020年2月3日

農業や畜産における受注から生産、出荷までを管理できるクラウドサービスをトヨタ自動車が2020年4月から開始する。2014年から提供してきた稲作用管理サービスを刷新し、ハウス栽培や畜産にも対応したほか、受注や出荷の工程もカバーする。2020年1月28日に発表した。

 トヨタ自動車が2020年4月から提供する「豊作計画」は、トヨタ生産方式の考え方を適用した農業用の工程管理サービス。2014年に稲作用に開発した仕組みを刷新し、野菜作りや畜産などにも対応した(図1)。

図1:新しい「豊作計画」は穀物のほか野菜や果樹、畜産・林業などにも対応する

 サービスは生産対象の品目により、(1)Type A、(2)Type B、(3)Type Cの3タイプを用意する。Type Aは米や麦、大豆などの穀物中心、Type Bは野菜や果樹、畜産、林業などを主な対象にする。Type CはType AとType Bのいずれの品目にも対応する。

 加えて、従来の作業計画だけでなく、受注やパート従業員のシフト、在庫管理までカバーした(図2)。これらにより、たとえば受注生産型の野菜の生産計画の精度を高め廃棄ロスや出荷遅れを減らしたり、生産・人員計画の作成や管理業務における経営者の負担を軽減したりできるとしている。

図2:カバー範囲を作業工数管理だけから受注や人員配置、出荷へと広げた

 オプションで、環境管理や農機管理、経営管理、帳票出力といった機能も提供する。環境管理は、ハウス内の温湿度やCO2濃度などを入力し栽培環境を見える化することで計画精度を高める機能。農機管理は農機の稼働実績から点検更新時期やコストを管理する機能である。

 経営管理は、品目ごとの売り上げから利益率の高い作物を見える化したり、面積・収量・売上をシミュレーションし収益性を高めるための機能だ。帳票出力では、委託作業の請求書の発行・管理や、日報のメール配信などができる。

 豊作計画は2014年からこれまでに全国94の農業経営体に導入されている。広範囲に分断して存在する水田を集約的に管理し、農作業の効率を高めてきた。

 システム刷新においては2019年10月から、愛知県内の農業生産法人サグワットファーマーズなど3カ所で実証実験に取り組んでいる。