• News
  • 共通

地震発生時の建物の被害状況をIoTで把握するサービス、白山工業が開始

DIGITAL X 編集部
2020年4月8日

地震発生時に建物の被害状況をIoT(Internet of Things:モノのインターネット)の仕組みを使って把握するサービスを、地震観測や建物の健全性評価などを手がける白山工業が2020年4月1日から開始している。広域・多拠点・ピンポイントを対象に地震の影響を観測でき、被災度を簡易的に推定したり地図上に表示したりができる。2020年4月1日に発表した。

 白山工業は、地震や火災の観測、建物の健全性評価、防災システムなどを手がける企業。2020年4月1日に「IoT地震観測サービス」を開始した。

 地震による揺れの大きさは、建物構造や地盤状況によって異なるため、実際の被害の大きさは震度情報だけでは推定できないとされる。新サービスでは、IoT(Internet of Things:モノのインターネット)の仕組みを使って建物自体の揺れを測定することで、地震発生時の初動対応までの時間短縮を支援する。

 IoT地震観測サービスでは、建物に地震計を設置し、データをLTE-Mの無線通信でクラウドにアップロードし解析する。一定以上の揺れを観測すると、あらかじめ設定した宛先へ通知する。最新状況や解析結果は、スマートフォンやPCから各建物の震度や被害状況を確認できる。API(アプリケーションプログラミングインタフェース)により既存システムとの連携も可能だ(図1)。

図1:「IoT地震観測サービス」の概要

 簡易の被災度推定ツールも用意する。計測した加速度を基に、等価一質点解析モデルにより建物への揺れの影響を推定するもので断定はしない。結果は「地震あんしんカルテ」として表示する(図2)。現在、第三者機関と検証中であり、サービス開始時点で測定対象になるのは、大スパン構造など特殊な建物を除く低層建物に限られる。

図2:簡易被災度推定ツールの画面例

 各種情報は地図上に表示できる。たとえば、実測値から算出したピンポイント震度などを表示すれば状況把握が容易になる(図3)。今後、防災科学技術研究所が公開する250メートルメッシュ震度推定の情報を表示できるようにする予定だ。

図3:ピンポイント震度などを地図に表示した例

 白山工業は、IoT地震観測サービスの用途として、種々の業種で防災・減災用途や、地震に関連するサービスの開発などを想定している(表1)。

表1:「IoT地震観測サービス」の用途の例
業種用途の例
住宅自社製品の耐震性評価、大地震発生時の顧客駆け付けサポート、平時の観測記録による耐震補強やリフォームの提案
不動産テナントへの被災度情報の提供、平時の観測記録による耐震補強などの検討
電力・ガス・水道無人施設の遠隔からの被害状況推定、契約者への追加サービス
通信基地局やデータセンターの被害状況推定、多点観測情報を用いた新サービスの開発
製造業・流通・交通重要拠点やサプライチェーンの被害状況推定、リスク対策
病院・学校・自治体災害時の重要拠点や避難所施設の被害状況推定、地域住民や保護者への情報提供
警備契約者や管理受託ビルへの追加サービス
銀行・保険地域への災害対策CSR活動、投資家向けリスク対策やリスク情報開示、新商品開発

 IoT地震観測サービスの料金はサブスクリプション型を採用し、20端末を利用する場合の導入初年が120万円から。条件によって変動する。