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屋内環境の最適化に向けたデジタルツインによるオープンな設備制御システム、日建設計など5社が協創で開発へ

DIGITAL X 編集部
2020年4月10日

働く環境の有効利用と室内環境の最適化に向けて、屋内設備をクラウド経由で制御するためのネットワークシステムを、日建設計と、協和エクシオ、WHERE、オムロン、神田通信機の5社が共同で開発することに同意した。すでに実際のオフィス環境におけるセンシングと制御の実証実験を開始している。今後は、開発から改善、普及へと取り組みを広げていく。2020年4月8日に発表した。

 日建設計と、協和エクシオ、WHERE、オムロン、神田通信機の5社が共同で開発しているのは、建築空間の全体最適を実現するための遠隔制御の仕組み。空調や照明、防犯・防災、日射遮蔽、映像音響など、メーカーが異なる種々の建築設備を一元的に制御可能にすることで、より快適で、より効率的な空間の実現・運用するのが目的だ。社会課題である生産性向上や脱炭素化の促進には、空間の全体最適化を可能にするシステムが必要との考えが背景にある。

 具体的には、建物内に専用のネットワークを構築し、複数センサーのデータをクラウド上のプラットフォームに送信し集約。そのデータを解析した結果に基づき、設備の制御にフィードバックをかける。従来は、空調や照明など設備のそれぞれが独自のセンサーデータに基づき相互には無関係に制御されてきた。

 今回開発するシステムの基本コンセプトとして、デジタルツインとオープンスタンダードを挙げている。デジタルツインは、サーバー空間上にある実世界を反映したデータ群のこと。各種センサーで収集した実世界のデータを解析して求めた最適解を実世界の制御へフィードバックする。

 オープンスタンダードでは、API(アプリケーションプログラミングインタフェース)相互接続性・相互運用性を確保したい考えだ。センサーや設備のマルチベンダー化が進むなかでも、拡張・更新が容易で陳腐化しないシステムの構築を可能にするとともに、建物のオーナーや利用者自身がデータを活用できる環境の提供を目指す。

 すでに都内のオフィスにおいて照明制御を対象にした実証実験を開始している(図1)。センサー、ネットワーク、クラウドプラットフォーム、および照明制御の仕組みを導入・運用し、設備制御における連携の拡張やセンサーの種類別に最適な配置を検証する(表1)。

図1:照明制御を対象にした実証実験のシステム構成
表1:照明制御の実証実験における各社の役割
会社名担当分野内容
日建設計全体統合と建築・ワークプレイスへの適用要素技術の連携による全体統合の主導と建築/ワークプレイスにおける適用と普及の考案
協和エクシオ、WHEREクラウドプラットフォームBluetoothを用いたmeshネットワークによるIoTネットワークと位置測位およびデータの可視化や分析などのクラウドサービスの提供
オムロンサーモパイル型人感センサー在不在・人数・放射温度、温湿度・照度・騒音・気圧などのセンサーからのデータの取得
神田通信機照明制御オープンプロトコルによって照明器具を1台単位で明るさや点灯エリアの変更ができるDALI制御

 5社は今後、空間の利用状況と室内環境を把握することで働く環境を継続的に改善したり、リアルタイムな制御により働き方改革や脱炭素社会の実現に貢献したりしたい考えである。