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情報銀行経由で企業に最も提供したくないデータは「位置情報」、NTTデータ経営研究所の調査

DIGITAL X 編集部
2020年4月27日

個人情報などのデータ活用を個人の許可を得たうえで可能にする情報銀行。企業側の期待は高まるが、データを提供する個人の側の意識はどうなのか。そんな意識調査をNTTデータ経営研究所が実施した。結果、どのような対価を得ても提供したくないデータとして回答が最も多かったのは「位置情報」だった。2020年4月7日に発表した。

 情報銀行は、個人にひも付くデータを管理し、個人が使用目的ごとにその利用許可をえたうえで、データを活用したい企業などに提供する考え方や、そのための仕組みのこと。個人のデータすべてを一社では集められないことや、個人情報を保有することのリスクなどの観点から、データを活用したい企業からの期待が集まっている。

 その情報銀行の利用に関する一般消費者の意識をNTTデータ経営研究所が調査した。インターネットで調査する「NTTコム リサーチ」の会員で10~60代の男女を対象に2020年2月12~13日に実施した。有効回答者数は1093人である。

 情報銀行に預ける各種パーソナルデータについて、「そのデータを提供しても良いと思う対価(報酬または同等金額相当のサービス)のレベル」を聞いたところ、どのような条件であっても企業に提供したくない」と70.7%が回答したのが「位置情報」(図1)。 60%を超えた項目には「住所、電話番号」(67.5%)、「株式や債券、口座残高など、ストック面の金融資産情報」(64.8%)、「年収や借入など、フロー面の金融情報」(61.6%)、「友人関係、所属コミュニティー」(60.8%)が挙がる。

図1:情報銀行に預けるパーソナルデータの種類別にみた「そのデータを提供しても良いと思う対価のレベル」(有効回答者数1093人)

 一方で、「趣味・嗜好」「テレビ視聴履歴」「電力、ガス、水道の使用量」「身長、体重、歩数など」については40%未満だった。

 対価としては、「1000円以上」が多くの項目で20%台を示す。次に多いのは「100円以上500円未満」。「10円以上50円未満」とする回答も1ケタ台ながら一定数はいる。

 パーソナルデータを活用したサービスの利用ニーズが最も高かったのは「自身の個人情報の追跡・安全性確認サービス」。「ぜひ利用したい」と「どちらかと言えば利用したい」を合わせると54.7%になる(図2)。次いで「医療機関間などでの検査結果データ共有サービス」が両者合計で47.8%だった。

図2:パーソナルデータを活用したサービスの利用ニーズ(有効回答者数1093人)

 逆に「利用したくない」との回答が最も多かったのは「オーダーメード化された教育カリキュラム提供」で35.5%。「あなたに合った保険商品を提案してくれるサービス」も35.1%と肩を並べる。

 パーソナルデータの提供における個人情報の取り扱いに関する規約は、「全て読んだ上で同意していることが多い」が8.0%どまりながら、「ある程度読んだ上で同意していることが多い」46.2%あり、両者を合わせれば半数を超える(図3)。ただ「あまり読まずに同意していることが多い」も38.0%ある。「全く読まずに同意していることが多い」は7.9%だった。

図3:個人情報の取り扱いに関する規約を同意前にどの程度読んでいるか(有効回答者数1093人)

 提供先企業における個人情報の取り扱いに関して気になるポイント(複数回答)は、「それぞれの個人情報の第三者提供に関すること」(58.5%)と、「それぞれの個人情報の利用目的に関すること」(56.3%)、「個人情報の安全管理に関すること」(52.1%)が半数を超えた(図4)。「気になるポイントはない」という回答は14.5%である。

図4:企業の個人情報取り扱いに関して気になるポイント(有効回答者数1093人)

 なお情報銀行そのものを選択する際の条件や機能として重視する点としては、「第三者からの認証/認定」が25.3%で最も多かった(図5)。次いで「報酬の高さ」が18.8%だった。

図5:情報銀行の選択の条件や機能のうち重視する点(有効回答者数1093人)

 「パーソナルデータの管理が容易で使いやすい」(16.1%)、「連携先のサービスやアプリケーションが多い」(14.1%)、「連携先のサービスやアプリケーションの質が高い」(13.2%)、「情報銀行の運営企業のブランド力が高い」(10.5%)なども大差はない。情報銀行がまだ本格的にサービス展開していないだけに消費者としても具体的なイメージがしづらいのだろう。