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対話型AIサービスの開発・実行するためのフレームワーク、米NVIDIAが開発

DIGITAL X 編集部
2020年5月18日

コンタクトセンターなどの対話型業務にAI(人工知能)を使ったサービスを開発・実行するためのフレームワークを米NVIDIAが開発し、早期アクセスプログラムの募集を開始した。同社製GPUを使ったAIアプリケーションの開発を容易にする。2020年5月14日(米国時間)に発表した。

 米NVIDIAが開発した「NVIDIA Jarvis」は、音声認識などの技術を使ったアプリケーションを開発・実行するためのフレームワーク。コンタクトセンターでの自動応対や対話内容のテキストデータ化などのアプリケーションを、NVIDIA製GPU用に開発し、クラウドあるいはエッジ環境で利用できるようにする。

 NVIDIA Jarvisには、自然言語を理解するための「Megatron BERT」といったディープラーニング(深層学習)モデルが含まれる。利用企業は自社データを使ってモデルや推論の最適化が図れる。実行環境には、AIコンピューティング向けの「NVIDIA A100 Tensor コア GPU」と推論向けの「NVIDIA TensorRT」も使える。

 一般に対話型のAIサービスの開発では、各社の製品内容や顧客要件に基づく固有データを使った学習が必要になる。そのためには、AIに関する専門知識や、学習用の大量データと演算リソース、新しいデータによるモデルの定期的なアップデートおよび、そのためのソフトウェアが必要だった。NVIDIA Jarvisは、これらを体系化することで開発・実行負荷の軽減を図る。

 NVIDIA Jarvisを評価するための早期アクセスプログラムへの参加者募集が始まっている。すでにコールセンター向けのAIオペレーターを開発するVocaや、金融機関などにおける自動音声文字起こしツールを開発するKensho、アポイント向けバーチャルアシスタントを開発するSquareなどがNVIDIA Jarvisの評価を始めているという。

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大などにより、在宅勤務や遠隔医療、遠隔学習を利用する動きが強まっており、顧客対応や文字起こし、ビデオ通話の要約など音声認識技術への需要が高まっている。

 調査会社の米IDCによれば、コンタクトセンターなどにおけるオペレーター支援やデジタルアシスタントなど対話型AIに対する支出額は全世界で、2019年の58億ドルが2023年に138億ドルにまで成長。年間平均成長率は24%になると予想している。