• News
  • 製造

半導体関連スタートアップに知財などを無償提供する支援策、英Armが開始

DIGITAL X 編集部
2020年5月18日

半導体関連のスタートアップ企業を支援する新しいプログラムを英Armが開始した。Armの半導体設計資産(IP:Intellectual Property)や各種ツール、トレーニングを無償で提供する。Armの日本法人が2020年4月30日に発表した。

 英Armの「Arm Flexible Access for Startups」は、半導体分野への新規参入を目指すスタートアップ企業を対象にした支援プログラム。Armが持つ半導体設計資産(IP:Intellectual Property)を無償で提供するほか、半導体デバイス設計やソフトウェア開発、サポート、トレーニング、ツールなども用意する(写真1)。

 同社は2019年から、年間利用料を支払うことでIPなどの利用を可能にするプログラム「Arm Flexible Access」を提供している。これを資金の獲得額が500万ドル以下のスタートアップを対象に、無償提供することで半導体設計のための実験や評価、試作を支援する。市場投入までの期間を6~12カ月短縮できるほか、今後の資金調達に向けた投資家からの信頼を得る上でも有効としている。

 Arm Flexible Access for Startupsの導入においては、半導体関連のスタートアップに特化したインキュベーション企業の米Silicon Catalystと協業もする。Silicon Catalystが投資する企業に対し、ArmのIPやEDA(電子設計自動化)ツール、プロトタイプ・シリコンを無償で提供する。

 新プログラム投入の背景には、エッジAI(人工知能)や自動運転車、IoT(Internet of Things:モノのインターネット)などの分野において、新世代の半導体スタートアップの勢いが高まっていることがある。米Semico Researchの調査レポートによれば、2016年から2019年にかけての調達資金は10倍に増え、半導体スタートアップが過去5年間に調達した資金は総額13億ドルを上回る。

 Arm Flexible Accessにおいても、同プログラムの採用企業数は40社を超え、IoTやエッジAI、自動運転車、医療用ウェアラブル端末などの分野に取り組んでいるという。