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CX重視のマーケティング活動に向けた顧客関連データの管理・分析サービス群、米アドビが発表

DIGITAL X 編集部
2020年5月26日

顧客起点のマーケティング活動に向けて顧客関連データを管理・分析するためのサービスを米アドビが2020年5月14日(現地時間)に発表した。同社のAI技術「Adobe Sensei」を使って、個人情報などを扱うガバナンスを徹底しながらの、より効率的なマーケティング施策の実施を支援する。自社利用のほか、米NVIDIAがすでに利用し効果を上げているという。

 米アドビの「Intelligent Services」は、CX(Customer Experience:顧客体験)を重視するマーケティン活動に必要な顧客関連データを管理・分析するためのサービス群。同様の機能を提供してきた「Adobe Experience Platform」をベースに機能強化した。非構造化データを統合し、CXの管理に特化したユースケースに合わせたサービスを設定できるとしている。

 そのために、同社のAI(人工知能)技術である「Adobe Sensei」を適用し、データの管理・分析におけるAIの専門知識を不要にしたという。マーケティング担当者らは、データに対するガバナンスや、業界規制や企業ポリシーの遵守を徹底しながら、より効果的なマーケティング施策の実施が可能になる。

 すでにアドビ社内での利用のほか、プロセサベンダーである米NVIDIAのマーケティングチームが、Intelligent Servicesを使っている。たとえばマーケティングプログラムの効果を分析し、その結果を基に実施した集客キャンペーンでは、イベント登録者数が5倍に増えたという。

 アドビ自身は、毎日15億以上の傾向スコアを作成し、サブスクリプションの解除などにつながる顧客行動などを可視化しており、それがパッケージソフトウェアベンダーからクラウドサービスベンダーへの移行におけるデータ駆動型運営の原動力だとしている。

 Intelligent Servicesは、(1)Customer AI、(2)Attribution AI、(3)Journey AI、(4)Content & Commerce AI、(5)Leads AIの5つの機能からなる。うち(3)Journey AIと(4)Content & Commerce AIと(5)Leads AIは、発表時点ではベータ版だ。

(1)Customer AI :顧客行動の背景にある根本的な理由を理解するために、ビジネス全体における履歴データやリアルタイムデータを分析し、コンバージョンや解約といった重要なイベントの傾向スコアを作成する。

(2)Attribution AI :マーケティング担当者が、顧客との複数のタッチポイントにおける影響度を定量化しマーケティング効果を測定。各タッチポイントに適切なリソースと時間を配分し、予算への反映を可能にする。

(3)Journey AI (ベータ版):マーケティング施策における最適な時間、頻度、チャネルを予測できるよう支援する。顧客の各種マーケティング活動に対する「疲労スコア」も提供し、顧客とのエンゲージメント測定にも使える。たとえば、小売業であれば、ホリデーシーズンの前に予測することで販促策を調整できる。

(4)Content & Commerce AI (ベータ版):色や被写体など、高いパフォーマンスをもたらすクリエイティブ要因に関するガイダンスを提供する。検索性を高めるためのタグ付け作業や、Eコマース分野における商品レコメンデーションを自動化する。

(5)Leads AI (ベータ版):B2B(企業間)マーケティングにおいて、具体的なビジネス機会が生じそうなリードを、リアルタイムな顧客行動から予測する。たとえば、企業向けソフトウェアベンダーであれば、絞り込んだターゲットに対し、さらにパーソナライズしたキャンペーンを実施できる。