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小売電気事業者向けのデマンドレスポンス管理システム、ソフトバンクグループのエンコアードが発売

DIGITAL X 編集部
2020年6月24日

電力需給を調整するデマンドレスポンス(DR)を実施するための管理システムを、ソフトバンクグループでエネルギー管理システムなどを手掛けるエンコアードジャパンが2020年7月から運用を開始し、小売り電気事業者に提供する。2020年6月18日に発表した。

 エンコアードジャパンは、ソフトバンクと米エンコアードによる合弁会社でエネル関連事業を手掛けている。今回、電力需要がひっ迫した際に消費者側に電力の使用を控えるよう要請する「デマンドレスポンス(DR)」を実現するためのシステムを開発した。2020年7月から運用を開始し、小売電気事業者向けのDR管理サービスとして提供する。

 需要家向けのユーザーインタフェースを用意し、DRへの参加要請を通知したり参加を受け付けたりができる。小売電気事業者は、自社システムをエンコアードのDRサービスと連携することで、大規模なシステム開発なしにDRの実施が可能になる。

 DRの実施では、節電量に応じてポイントを得られるなど、加入者自身が需要を制御する行動誘発型DRのほか、家電を操作できるスマートリモコンやスマートハウス向け通信規格「ECHONET Lite」を通じた家電制御にも対応する(図1)。家電メーカーがIoT(Internet of Things:モノのインターネット)家電用に運用する専用サーバーと連携するためのAPI(アプリケーション・プログラミング・インタフェース)も用意する。

図1:家電リモコンやスマートハウス向け通信規格などを介した家電制御に対応する

 電力データとしては、各送配電事業者から収集する電力データ(Cルート)や、スマートメーターからHEMS(ホームエネルギーマネジメントシステム)などを通じて直接収集する電力データ(Bルート)、分電盤に設置された電力センサーにより取得するリアルタイム電力データなどに対応する。

 エンコアードジャパンのDR管理システムは、需要家の電力データから、電力需要や日本卸電力取引所(JEPX)での取引価格を予測。そこから需要家ごとに求めるDR要請時間帯や目標値を算出する。DR実施時の自動制御信号なども生成する(図2)。

図2:エンコアードジャパンが提供するデマンドレスポンス(DR)管理システムの全体像

 DR実施の流れはこうだ。電力データから算出した最適なDR要請時間帯を小売電気事業者へ提案。小売電気事業者はDRの実施を判断し、実際のDR要請時間帯をDRシステムに返信する。

 実際のDR要請時間帯からDRシステムは、DRのスケジューリング情報を生成し、加入者端末に反映させる。加入者は加入者端末を通じてDRに参加するかどうかをシステムに送信し、指定された時間にDRを実施する。

 電力需要やJEPX取引価格の予測にはAI(人工知能)を使っている。同予測には、エンコアードが特許を持つ電力データ分析技術「エネトーク技術」を利用する。分電盤に設置した電力センサーから得た電力データをリアルタイムに分析する。