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コンタクトセンターでのメールによる問い合わせ業務をAIで支援するサービス、ベルシステム24が開始

DIGITAL X 編集部
2020年7月6日

コンタクトセンターにおける顧客からのメールでの問い合わせ業務をAI(人工知能)を使って支援するサービスをベルシステム24ホールディングスが2020年7月2日に開始した。同分野の研究に共同で取り組むソニーコンピュータサイエンス研究所(ソニーCSL)が開発するAIを活用する。同日に発表した。

 ベルシステム24が開始したのは、コンタクトセンターにおいて顧客からのメールによる問い合わせ業務を軽減するためのサービス。ベルシステム24が持つコンタクトセンターでの業務フローの知見と、ソニーコンピュータサイエンス研究所(ソニーCSL)が持つAI(人工知能)研究の知見を組み合わせた。

 両者は約2年前からコンタクトセンター業務における共同研究に取り組んできた。2020年6月22日には、次世代コンタクトセンターを対象にした研究組織「イノベーション&コミュニケーションサイエンス研究所(ICS Lab.)」をベルシステム24内に設立したところ。

 新サービスは、AI検索エンジンの「Mopas(モーパス)」と、AIナレッジのメンテナンス機能「Knowledge Creator(ナレッジクリエーター)」からなる(図1)。利用企業は、それぞれの業種・業態に特化したカスタマーサービスを実現するためのAIが利用でき、導入および運用のコストを抑えられるとしている。

図1:ベルシステム24が開始したメール問い合わせの支援サービスの概念

 Mopasは、利用企業が持つコンタクトセンターのFAQ(良くある質問と答)データのみを使って、応対用のAIモデルを数時間で自動生成する。数十万種類のアルゴリズムパラメーターから正答率の高い組み合わせを採用するという。

 Knowledge Creatorは、AIが学習するための教師データの追加作業やFAQなどのナレッジの管理・更新作業を支援するツール。類似度に基づいてデータをグループ分けするクラスタリングや、検索キーワードのサジェスト、類似の問い合わせの提示などにより、属人的な作業を代替する。

 すでにベルシステム24の顧客企業数社が試験運用している。そこでは、メールの問い合わせ件数が69.7%削減できたり。FAQカバレッジが40%以上、向上したりしているという(図2)。

図2:試験運用によるコンタクトセンター業務の改善効果

 コンタクトセンターの問い合わせ手段は、電話、メール、チャットなど複数が使用され、それぞれへの対応の難易度が高まっている。そのためAI検索エンジンなどの運用が始まっているが、ベルシステム24によれば、業種・業態による相性などから効果には大きなばらつきがある。

 また、AI検索エンジンは導入後、新しいアルゴリズムに対応できなかったり、データのメンテナンスやナレッジの更新に多くの人的コストが発生したりする課題があった。

 新サービスでは、これら課題を解消できるとしている。ベルシステム24とソニーCSLは今後は、ICS Lab.を中心に両社の強みやノウハウを使い、コンタクトセンターにおける運用業務の効率向上やオペレーターの負担軽減、最終顧客の利便性向上に取り組むとしている。