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DXはビジネスの価値向上に加え社会価値の提供にも寄与、富士通が世界9カ国で調査

DIGITAL X 編集部
2020年7月24日

「デジタルトランスフォーメーション(DX)への取り組みは、ビジネスの価値向上に加え、社会への価値提供にも寄与する」——。DXを実践したビジネスリーダーの89%が、こう考えていることが、富士通がグローバルで実施した調査から分かった。2020年6月29日に発表した。

 富士通の『グローバル・デジタルトランスフォーメーション調査レポート 2020』は、デジタルトランスフォーメーション(DX)の成功要因と社会への価値提供について、ビジネスリーダーの意識を調べたもの。世界9カ国で、中規模以上の企業の経営層と経営層に相当する意思決定者900人を対象に2020年2月に実施した(図1)。

図1:『グローバル・デジタルトランスフォーメーション調査レポート 2020』の回答者プロフィール

 同調査によれば、「DXを実践し結果を得た」と回答した企業や組織は全体の約41%を占め、彼らの89%が「DXは社会への価値提供に寄与した」と回答した(図2)。

図2:DX実践企業の89%がDXは社会への価値提供にも寄与するとした

 社会への価値提供としては、「人々に対する安心・安全の提供」が38%、「ウェルビーイング(健康と福祉)の向上」が33%、「都市のスマート化や持続可能性への貢献」と「気候変動への対応」が32%だった。

 この結果を富士通は、「DXで出した結果への満足度が高い企業や組織は、社会への価値提供の取り組みにも、より積極的である」とみる。

 実際、社会への価値提供に対する意識として、営利企業や組織に属する回答者(891人)の92%が、「企業が持続可能であるために利益を追求するのみでなく社会への価値提供が必要」と回答している(図3)。

図3:「利益追求のみでなく社会への価値提供が必要」とする声が強い

 その理由としては、「社会への価値提供は、サービスの価値向上や起業や組織のブランド価値向上につながる」が50%と最も高い。それに、「若い世代の社会課題解決に対する意識が高く、彼ら/彼女らの意見や行動が政策や事業に影響を与えているから」が47%、「投資家が環境・社会・起業統治に配慮している企業を重視・選別して行う投資(ESG投資)を重視するようになっているから」が45%、「消費者が企業や組織に社会課題の解決を求めているから」が43%で続く。

 一方、社会に価値を提供する事業を実行する上での課題としては、「アイデアを実現可能なプロジェクトにすることが困難」が35%で最も高かった(図4)。以下、「ROI(投資対効果)が明確にできない」が34%、「アイデアを創出することが困難」が29%、「投資する資金が少ない」と「必要なスキルを持った人材が不足」が28%だった。

図4:アイデアの実行やROI(投資対効果)の明確化が課題に

 事業を通じて社会へ価値を提供する上での成功要因としては、45%が「事業戦略に社会への価値提供を組み込んだ」を、42%が「従業員の意識を変革した」と「事業と社会への価値の間にシナジーを生み出した」を挙げる。

DXの成功に必要な組織能力

 社会への価値提供を事業戦略に組み込むには、組織の意識変革も必要だ。DXの成功に必要な組織能力として富士通は、リーダーシップ、エコシステム、人材のエンパワーメント、アジャイルな文化、データからの価値創出、ビジネスとの融合の6つの要素を挙げる。これらの総称を富士通は「デジタルマッスル」と呼ぶ。

 「DXを実践し結果を得た」と回答した企業や組織においては、「デジタルマッスルの各要素の能力を有している」とする回答比率が82%以上と高い(図5)。

図5:デジタルマッスルと結果の満足度

 特に「結果に大変満足」とした企業や組織の回答者(163人)は、93%以上と極めて高かった。富士通は「デジタルマッスルの強化が非常に重要なことを裏付けている」としている。