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工場内のソーシャルディスタンスを検知・警告するシステム、独シーメンスが開発

DIGITAL X 編集部
2020年7月24日

工場における新型コロナウイルス感染症(COVID-19)対策として、従業員同士の間隔(ソーシャルディスタンス)を検知・警告するシステムを独シーメンスが開発した。工場の安全確保に加え、生産性の向上も図れるという。2020年7月9日(現地時間)に発表した。

 独シーメンスの「SIMATIC リアルタイムロケーティングシステム(RTLS)」は、生産現場における従業員同士の間隔(ソーシャルディスタンス)をリアルタイムに測定し、監視するためのシステム(写真1)。間隔が1.5メートル未満になれば、従業員が装着するウェアラブル端末にアラートを表示する。

写真1:「SIMATIC リアルタイムロケーティングシステム」は、工場の従業員同士の間隔を測定し、1.5メートル未満になればアラートを発する

 ウェアラブル端末は、施設内に設置した機器と連動しており、特定範囲内での従業員の行動を追跡。ウェアラブル端末からの位置情報を基に、従業員同士の距離を算出する。

 感染などのリスクシナリオが発生した場合は、リスクの影響を受ける従業員を特定したり、考えられる接触ルートを見極めたりができる。リスクが発生する可能性が特に高い「ホットスポット」の検知も可能だ。

 ホットスポットなどを正確に把握することで、対策が必要な区域での安全策の最適化が図れる。衛生対策についても、施設全体ではなく範囲を絞ることで費用を抑えられるとする。

 SIMATIC RTLSの行動データは、工場における生産環境全体をサイバー環境に再現する「デジタルツイン」の構成データとしても活用できる(図1)。

図1:SIMATIC RTLSの行動データは工場の「デジタルツイン」の一部として、ERP(統合基幹業務システム)やMES(製造実行システム)などからも活用できる

 たとえば、位置データを他のアプリケーションで利用すれば、原材料の流れや受注状況、あるいは業務プロセス全体における問題領域などを明確にできる。正確な位置情報を元に、検索時間を短縮したり障害を回避したりすれば、生産性の向上につながる。

 ほかにも、従業員の安全シミュレーションや、作業領域を設定する際のテストと最適化、安全対策の検証、有効な生産ラインの設計などにも利用できる。