• News
  • サービス

Withコロナ時代におけるビジネス変革−−ローコード開発プラットフォームを展望〔PR〕

小山 健治
2020年7月28日

神戸市もPower Platformを活用し3つのサービスを開発

 もう1つ紹介しておきたいのが、神戸市の取り組みだ。Power Platformを活用することで、「新型コロナの健康相談チャットボット」「新型コロナ発生状況のデータ公開サイト」「特別定額給付金の申請状況等確認サービス(住民ポータル)」という3つのサービスを開発し、157万人の住民に公開したのである。

 ボランティアとしてこのプロジェクトの立ち上げから関わってきたマイクロソフトコーポレーション カスタマーアドバイザリーチーム シニアプログラムマネージャーの吉田大貴氏は、「神戸市の情報化戦略を担っている職員が、一人で試行錯誤しながら、3つのサービスをほぼ自力で開発されました。しかもそこで費やした期間は、それぞれ1週間程度です」と語る。

 これらのアプリケーションによって得られた効果も絶大だ。

 新型コロナの健康相談チャットボットは「Power Virtual Agents」をベースに開発されたもので、コールセンターに相談する前のセルフチェックやかかりつけ医や案内まで行うことができる。5月20日から運用を開始し、1日あたり約400件の利用があるという。

 新型コロナ発生状況のデータ公開サイトは、もともとあった情報提供サイトをPower BIを活用して大幅に刷新したもので、これまでバラバラに提供されていた新型コロナウイルス感染関連の情報をダッシュボードに統合。よりリアルタイムな情報提供が可能となり、住民も必要な情報にたどりやすくなったことから6月1日の運用開始以降、アクセス数は1日あたり約13万件に達している。また、ダッシュボードを更新する際のデータ取得・加工・可視化までの一連の作業を自動化し、IT部門の業務効率化と省力化を実現している。

 そして特別定額給付金の申請状況等確認サービスは、ピーク時には日々4万件もの問い合わせが殺到していた、コールセンターの負荷軽減を実現した。5月29日の公開開始以降、1日あたり約3万5000件のアクセスがあり、コールセンターの問い合わせを3000件程度にまで減らすことができたという。

神戸市が開発したシステムの構成図。Power Platformにより神戸市職員が構築している(資料提供:日本マイクロソフト)

 「従来の競争入札を原則とする行政の購買・調達プロセスでは、同様のアプリケーションを開発するまでには最低でも数カ月の期間を要したと思われます。簡単なアプリケーションについては自分たちで内製し、アジャイル開発のサイクルを完結させることで公開までのリードタイムを短縮し、ひいては住民が望むサービスをよりスピーディーに提供していくという取り組みは、神戸市だけでなくほかの自治体の間にもどんどん広がっていくと予想しています」と吉田氏は、今後に向けた展望を示す。

あらゆるビジネスパーソンにとっての必須ツールとして定着していく

 Power Platformは、自治体や企業におけるアプリケーション開発のありかたを大きく変えていくことになりそうだ。

 「Power Platformを手にしたお客さまは、あたかもPowerPointでプレゼン資料を作成するような感覚で、Officeソフトを普通に使えるスキルがあれば、誰でもアプリケーションを作れることを実感していただけます。また、業務側のエンドユーザー自身でのアプリケーション開発が広がれば、そのぶんIT部門の開発負担や調達コストを下げることができます」というのだ。

 一方で、業務側でのアプリケーション開発が可能になれば、それを管理するIT部門の負担が増大することも懸念されているが、Power Platformでは、その対策もきちんと行われている。

 「業務側で行われるさまざまなアプリケーション開発を、IT部門が個別に管理する必要はありません。Power PlatformではCenter of Excellence(CoE)のスターターキットを提供しているため、どの部門の誰が、どんなアプリケーションを作って運用しているのか、それらはセキュリティポリシーを満たしているのかといった状況を可視化し、自動的に監視することができるのです。IT部門としてのガバナンスを、しっかり働かせることができます」(川原氏)。

 「Power Platformはそれほど高いITスキルをもたないエンドユーザーだけでなく、IT部門やプロ開発者にとっても有益なツールとなります。あらゆるアプリケーションをスクラッチ開発していた常識を払拭し、簡単なアプリケーションはできるだけ短期間で手離れさせて、より高度なアプリケーションの企画や開発、新たなデジタル戦略の策定などに専念できるようになるからです。その意味でもPower Platformは、すべての開発者を対象としたソリューションなのです」(吉田氏)。

ガバナンスを利かせた形でアプリ開発者を増やし、企業・団体における生産性を向上させることが可能だ(資料提供:日本マイクロソフト)

 実際、日本国内においても2万数千人といった全社規模でPower Platformを活用し、ビジネス変革を推進する企業も現れているという。

 こうした動向をとらえれば、今後 Power PlatformはOffice製品と同様にあらゆるビジネスパーソンにとっての必須ツールとして定着していく可能性が高い。そしてスキルアップやキャリアを示す指標としても、Power Platformを活用した開発経験が問われるようになる。そんな時代が間もなく到来することになりそうだ。