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ローカル5Gの無線基地局の配置を計算するアルゴリズム、富士通研究所が開発

DIGITAL X 編集部
2020年7月30日

ローカル5Gシステムの導入時に設置する無線基地局の配置を計算するアルゴリズムを富士通研究所が開発した。従来手法より5〜10倍高速に計算できるという。企業の現場へのローカル5Gの導入をうながしたい考え。2020年7月22日に発表した。

 富士通研究所が開発したのは、ローカル5Gの無線基地局の配置を計算するアルゴリズム。2020年7月時点でローカル5Gに割り当てられている28GHzのミリ波帯に対応し、最適な配置を計算する。

 新アルゴリズムでは、送信電力や、電波を特定の方向に集中させるビームフォーミングなどのパラメータ調整を含めて最適化を図っている。たとえば、面積1万平方メートルの工場を対象に、24点の無線基地局の候補位置と4万点の端末の候補位置で電波状況をシミュレーションしたところ、デスクトップPCでは約2時間できたという(図1)。

図1:電波シミュレーション結果を用いたビームフォーミングパターンの探索の高速化

 ローカル5Gは、高速・大容量、低遅延で、多端末接続が可能な5G通信を、企業のビルや工場など自らの敷地内で利用できる通信システム。大容量の映像データの送受信や多数のIoT(Internet of Things:モノのインターネット)センサーを接続できるため、作業現場での人の行動分析による作業の効率化や、ロボットの遠隔操作による工場の自動化などへの利用が期待されている。

 ただローカル5Gが利用するミリ波帯は、直進性が強く障害物による遮蔽を受けやすい。無線通信の性能を十分に引き出すには、無線基地局の設置場所やアンテナの向き、送信電力や通信チャネルの選択などを最適に設定する必要がある。一般には、無線の専門家が設計し多大な現地調整作業が発生する。

 富士通研究所は今後、無線基地局の自動設計技術の高度化を進め、2020年度内にローカル5Gのシステム導入におけるエリア設計に活用するという。