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クルマや産業オートメーション用途の自律型システムのためのCPUやGPU、英Armが発表
自動車や産業オートメーションにおける自律型システムを開発するためCPUやGPUなどを英Armが発表した。性能のほか、安全性や、拡張性、電力効率にも配慮し、自律型での動作に必要な判断処理が可能という。2020年9月29日(現地時間)に発表した。
英Armが発表したのは、自律型で動作するシステムを対象にしたCPU(中央演算装置)とGPU(画像処理装置)、ISP(画像処理プロセサ)のための設計資産(IP:Intellectual Property)である。半導体メーカーやOEM企業が利用することで、クルマや産業オートメーションなどを対象にした自律動作型システムのための半導体を製造できる。
自動車分野ではADAS(Advanced driver-assistance systems:先進運転支援システム)やデジタルコックピットなどのアプリケーションの強化などが対象になる。産業オートメーションでは、自律型動作や設定の柔軟性の向上などが対象だ(図1)。
CPUのIPである「Cortex-A78AE」は、モバイルロボットや無人交通などのシステムにおいて、多様なアプリケーションを実行できる。処理速度は前世代比で30%向上したとしている。
自動車の安全基準であるASIL(Automotive Safety Integrity Level)における「ASIL-D/SIL3」までのアプリケーションを対象に、自動車と産業分野における機能安全性基準である「ISO 26262」と「IEC 61508」に対応する。
GPUのIPである「Mali-G78AE」は、自律動作型システムなどで必要とされる異種混在演算に対応する。最大4つの独立型パーティションがワークロードを隔離する機能を備える。たとえば、1つの車載アプリケーション内で、インフォテインメントや運転者監視などのシステムをハードウェアを隔離しながら同時かつ独立的に動かせる。
ISPのIP「Mali-C71AE」は、生産ラインの監視やADASにおけるカメラなど、自律動作型システムが周辺環境を認知するためのカメラ映像の処理に利用できる。人による映像監視と、機械による映像監視の両方のアプリケーションに対応する。ASIL-B/SIL2基準に沿うための各種機能を備える。4個のリアルタイムカメラまたは16個のバッファーカメラに対応し、スループットは毎秒1.2ギガピクセルである。
Armは、自律動作型システムのソフトウェア・エコシステムを拡充するために、複数のオープンソースコミュニティーや専門のソフトウェアベンダーと連携し、新たな開発を共同で進めているという。