• News
  • 流通・小売り

世界の小売業の86%がプロセスの自動化への投資拡大を2022年までに検討、米ゼブラが調査

DIGITAL X 編集部
2020年10月29日

複数の部門やシステムをまたぐプロセス全体を自動化する「インテリジェントオートメーション(IA)」への投資拡大を、世界の小売業の86%が2022年までに検討する――。こんな調査結果を、商品管理システムなどを手がける米ゼブラ・テクノロジーズが発表した。コロナ禍が小売業界にもたらした変化への対応についても考察している。ゼブラ日本法人が2020年10月15日に発表した。

 米ゼブラ・テクノロジーズが発表した『第12回 小売業界のテクノロジー改革に関するグローバル調査 Part 2』は、小売業者の課題解決に向けた技術の導入計画について分析したものだ。2019年8月から9月にかけて、北米や中南米、アジア太平洋、欧州、中東の小売業の幹部や店員、買い物客の約6300人を調査している。

 同調査によれば、小売業の86%が、複数の部門やシステムをまたぐプロセス全体を自動化する「インテリジェントオートメーション(IA)」への投資拡大を2022年までに検討する。

 小売業の79%は、リアルタイムの在庫確認の精度向上に向け、「年内に自動在庫確認システムを導入。あるいは導入を予定している」と回答した。「リアルタイムの在庫可視化の維持は大きな課題」と76%が回答し、「精度の確保に、より良い在庫管理ツールが必要」と82%が回答している。

 また今後5年間で業務上重要になる技術要素として、69%がロボットによるサポートを、83%がスマートチェックアウトおよび店舗のIoT(Internet of Things:モノのインターネット)基盤を挙げている。

 同調査によれば、スマートフォンやタブレットと、専用カードリーダーを利用したマルチ決済サービス「mPOS」の導入率は、2020年の76%が2026年までに92%へと上昇する見通しだ。

 同様の傾向は、スキャナーを搭載したハンドヘルドコンピューターにもみられる。店員の使用割合は76%から93%に達すると予想される。返品管理に関する新技術の導入を実行している、あるいは今後5年間に計画していると回答した業界幹部は46%だった。

 一方で買い物客の54%は、スマートフォンなどを使って店舗の商品を事前に注文できるモバイルオーダーを、「より多くの店舗が導入するよう期待する」と回答した。インターネット経由の注文に対応している店舗は40%ながら、小売業の81%は「2021年までにモバイルオーダーに対応する」ことを計画している。

 在庫管理など、業務効率化のためのモバイル端末を所有しない店員は65%を占める。しかしコロナ禍にあっては、オンラインで購入した商品を自宅以外の場所で受け取る「クリック&コレクト」などのニーズが高まり、店員がモバイル端末を使い非接触型で応対することの重要性が高まっているという。

 今回の調査結果について、ゼブラ・テクノロジーズ日本法人代表の古川 正知 氏は「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は小売業界に大きな変化をもたらした。従来のオンライン注文の需要だけでなく、感染予防対策としての需要に対応するため、注文への対応能力とスピードを高める技術への投資が重要だ」と述べている。