• News
  • 交通

道路交通インフラにローカル5Gや映像解析技術などを適用する実証施設、NECが開設

DIGITAL X 編集部
2020年11月17日

道路交通のインフラにローカル5G(第5世代移動体通信サービス)や映像分析などのIT技術を適用するための実証施設をNECが2020年11月6日、静岡県御殿場市に開設した。疑似的な道路設備のほか、車両と道路付帯物などが無線通信するための設備などを備える。同日に発表した。

 NECが静岡県御殿場市に開設した「NECモビリティテストセンター」は、デジタル技術を使った新しい道路交通インフラの実現に向けた実証施設(図1)。車両が道路に付帯する標識などの交通インフラと無線通信で情報をやり取りし、事故の抑止や渋滞緩和、自動運転支援などを実現する「インフラ協調型」の道路交通サービスの評価や検証に利用する。

図1:「NECモビリティテストセンター」では、ローカル5Gと車車間・路車間の通信を組み合わせた実験を計画している

 同センターには、信号灯器や横断歩道がある疑似的な交差点などの道路設備を設けている(写真1)。バスや乗用車などの車両や、電動の車いすも配備する。施設内のテストコースは全長が約120メートル、直線路が約100メートルだ。

写真1:NECモビリティテストセンター内の交差点(左)と信号柱(右)

 そこに、ローカル5G(第5世代移動体通信サービス)の基地局や、路側カメラ、AI(人工知能)用エッジ処理装置、セルラー通信を使ったコネクテッドカー向けの無線通信であるC-V2X(Cellular Vehicle-to-Everything)の路側機を設置する。

 NECが持つローカル5G、映像分析、AI、IoT(Internet of Things:モノのインターネット)といったデジタル技術と、パートナー企業・団体が持つ技術やノウハウを組み合わせ、次世代の道路交通の技術開発やシステム検証を進める。インフラに設置したセンサーから得られるデータの活用も図る。

 2020年度には3つの実験を予定する。(1)ローカル5Gと映像分析の技術実験、(2)交通マネジメント実験、(3)道路インフラのマネジメント実験だ。

 ローカル5Gと映像分析の技術実験では、道路付帯物に設置したカメラで交差点の俯瞰的な映像を撮影し、横断者や衝突予測、速度超過車両といった情報を周囲の5G端末搭載車両へ通知する(写真2)。通常では死角となり得る位置にある危険車や人の情報を伝えることで、安全な運転支援や自動運転につなげる。

写真2:実証用車両の例

 交通マネジメント実験では、通行する車両や歩行者をカメラ画像から認識・分析する。渋滞情報の基礎となる交通量をリアルタイムに検知し、同時に通過車両のナンバープレートを識別する。地域外からの流入車両数を把握したり、車両や歩行者の量の時間帯による変化を捉えたりするなど、交通マネジメントや街づくりに向けた実験を実施する。

 道路インフラのマネジメント実験では、路側のカメラで路面状況の画像を取得・分析して、落下物や倒木などのインシデントをリアルタイムに把握。その周辺にいる5G端末搭載の車両へすぐに通知して注意喚起する。将来的に、街の道路維持管理や事故・災害時の状況把握などに活用するとしている。