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日本のイノベーション進展度の評価は海外で高く、国内で低い――米GE調査

DIGITAL X 編集部
2020年11月18日

イノベーションのための推進環境の整備において、日本は海外から高く評価されているものの国内の評価は低い――。こんな調査結果を、米GE(General Electric)が発表した。イノベーションのパートナーとして、海外では多国籍企業を、日本では国内の大企業を選ぶ傾向があることも分かった。GEの日本法人が2020年11月5日に発表した。

 米GEが発表した『2020 GEグローバル・イノベーション・バロメーター』は、AI(人工知能)やIoT(Internet of Things:モノのインターネット)、ロボット、ビッグデータなどのデジタル技術関連に従事する各国の企業幹部を対象にした意識調査。世界22カ国の2000人以上が対象で、日本では100人の企業幹部が答えた。2019年12月から2020年2月に調査した。

 同調査によれば、「イノベーション推進環境の整備の度合い」で、日本は米国に次いで2位になり、諸外国から高く評価されている。しかし、「日本のイノベーションが進んでいる」と答えた日本企業幹部の割合は、2016年調査時の60%から2020年の34%まで低下した。

 これに対しアジア諸国や中東などの企業幹部は、自国のイノベーションに対して自信を強めているという(図1)。

図1:自国のイノベーションが進んでいるという回答の割合が多かった国々

 オープンイノベーションを進める企業間連携では、日本は国内企業同士の連携が企業連携全体の65%に上る(図2)。これは、調査対象国の中で最も高く、多国籍企業との連携(34%)の約2倍である。

図2:直近12カ月での企業間連携の種別。日本は、同業種の国内企業同士の連携が48%、異業種の国内企業との連携が17%と国内同業種の企業との連携割合が高い

 「政府ではなく企業がイノベーションの牽引役になるべき」と考えている企業幹部は、世界平均では83%に上る。「最大の牽引役は多国籍企業」とする回答は世界が20%に対し日本は7%。「国内の大企業」が32%ある。

 「持続可能な資源消費を促しながらのイノベーション創出が不可欠だ」という回答は、日本は48%にとどどまった。「イノベーションの価値を社会全体に広めることが不可欠だ」という回答も48%で、いずれも他国を下回っている。世界では72%が「イノベーションは持続可能な資源消費を改善し、社会全体の利益となるべきだ」と回答している。

 「イノベーションが最も進んでいる国は米国だ」と回答した世界の企業幹部の割合は24%で最も高い。ただしLATAM(ラテンアメリカ/中南米)からの回答では日本が1位になっている(図3)。

図3:「イノベーションが最も進んでいると思う国」についての地域別の回答。LATAM(ラテンアメリカ/中南米)の回答では日本が30%で1位

 「STEM(Science:科学、Technology:技術、Engineering:工学、Mathematics:数学)分野の学生が、イノベーションに必要な技能を学んでいる」については日本の回答は27%で、イラクを除くすべての国を下回り、世界平均の53%の約半数である(図4)。

図4:STEM(科学、技術、工学、数学)分野の学生が適切な技能を学んでいるという回答の国別の割合