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製造業の品質管理の高度化を支援するサービス、PwCコンサルティングが開始

DIGITAL X 編集部
2020年11月18日

製造業における品質保証・管理の高度化を図るサービスを、PwCコンサルティングが2020年11月9日に開始した。製品不具合の早期把握や、問題の原因究明の迅速化、熟練労働者の経験や勘の継承、予測型の顧客対応などが図れるとしている。同日に発表した。

 PwCコンサルティングの「Quality Digital Transformation」は、製造業における品質保証・管理領域の高度化を支援するサービス(図1)。各企業の経営状況に応じ、品質管理領域のデジタルトランスフォーメーション(DX)の策定から、実装、定着までを支援し、品質管理の向上を推進する。多言語に対応し、国内/海外の事業や拠点を横断した全社施策として適用できるとしている。

図1:「Quality Digital Transformation」の全体像

 本サービスが想定する事業会社の課題は3つ。(1)製品の販売網の拡大や細分化に伴う不具合の把握の遅れ、(2)多品種化や製品仕様の複雑化に伴う、問題の原因究明の長期化、(3)熟練労働者の引退による世代交代に伴う問題の防止・解決能力の低下である。

 これら課題を解決するために、品質に関するデータを統合するダッシュボードを構築し、可視化を図る。製品モデル別の不具合件数や、部品・症状別の不具合発生率、地域別のクレーム件数などをグラフ表示することで、問題の早期把握と見逃しの低減を図る。

 過去の不具合の情報も、紙の資料やExcelファイルなどから自動で取り込めるようにする。AI(人工知能)技術を使ったOCR(光学式文字読み取り装置)や、RPA(ロボティックプロセスオートメーション)技術を利用する。

 そこから過去の不具合の発生傾向を統計分析したり、不具合やクレームの情報、SNS(ソーシャルネットワーキングサービス)をモニタリングして得た市場や顧客の声などの各種テキスト情報もAIで分析し、リコールや重大な不具合など、リスクの高い品質問題を検知できるようにする。品質問題の原因分析や対策立案にもAIやデータ解析技術を適用する。

 過去の不具合で対策が完了した案件については、そのデータをデータベースに格納し、事業や部門を横断して活用できるようにすることで問題解決力の継承を図る。

 さらに、顧客が所有する製品の把握や、IoT(Internet of Things:モノのインターネット)で収集する稼働データ、および過去データの学習に基づき、不具合に事前に対応するといった予測型の顧客対応を可能にするという。

 Quality Digital Transformationのクラウド基盤は、「Microsoft Azure」と「Microsoft Dynamics 365」(米マイクロソフト製)を利用する。