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「職場の不安やストレスをロボットやAIに相談しても良い」が9割弱、米オラクルが調査

DIGITAL X 編集部
2020年11月24日

仕事上の不安やストレスの相談相手としてロボットやAI(人工知能)を受け入れるか――。こんな調査を米オラクルが実施した。結果は9割弱が「相談しても良い」とした。米オラクル日本法人の日本オラクルが2020年11月4日に発表した。

 米オラクルが実施したのは、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が広がるなかでの働き方や職場におけるAI(人工知能)の利用実態などに関する調査。人事関連調査などを手がける米Workplace Intelligenceなどと共同で実施した。

 調査期間は2020年7月16日から8月4日まで。日本の1000人を含む米英中など11カ国から、1万2347人の従業員やマネジャー、人事部門リーダー、経営幹部が回答した。

 COVID-19の拡大に対し、日本の回答者の61%が「コロナ禍によって2020年に最もストレスや不安を感じた」とした。「メンタルヘルスに悪影響を受けた」とする回答は70%、「企業が従業員のメンタルヘルスを今以上に支援すべき」という回答は74%だった。

 仕事上の不安やストレスを相談する相手として、「ロボットやAIを受け入れる」との回答は87%に上る。「上司よりもロボットやAIに話したい」との回答も49%あった。逆に「ロボットやAIよりも、カウンセラーやセラピストといった人に頼りたい」との回答は13%だった。

 これらの理由としては、「ロボットやAIは批判や決め付けがない」(42%)、「問題を共有する上での先入観のない感情のはけ口を提供してくれる」(27%)、「医療に関する質問に迅速に回答してくれる」(26%)などが挙がっている。

 メンタルヘルスの支援において、勤務先が「IT技術を利用することを望んでいる」回答は63%だった。IT技術としては、「プロアクティブ(事前予防的)な医療モニタリングツール」(27%)、「医療関連資料へのセルフサービスのアクセス」(24%)、「オンデマンドのカウンセリングサービス」(21%)、「医療に関する質問に答えるチャットボット」(20%)などが選ばれている。

 リモートワークについても調査している。コロナ禍に伴うリモートワークで「生産性が上がった」との回答は、日本は15%で11カ国中最下位だった。「下がった」とする回答が46%あった。11カ国平均では、「生産性が上がった」は41%、「下がった」は36%である。11カ国中8カ国が「生産性が上がった」としている。

 リモートワークで「労働時間が減った」との回答は、日本は34%、「増えた」が21%で11カ国中最下位である。11カ国平均では「減った」が25%、「増えた」が52%だ。

 企業の生産性は労働時間と個人の生産性の掛け算で導かれる。多くの国では個人の労働時間が増え、企業全体の生産性が上がっているのに対し、日本では労働時間が減り生産性が下がる傾向を示している。

 職場におけるAI活用についても、日本の利用率は26%で、2019年の調査に引き続き11カ国中最下位である。11カ国平均は50%だ。一方で、「コロナ禍によりAIツールへの投資を強化する」との日本の回答は44%。経営者層は63%、部長クラスは58%が、そう答えている。

 職場でのロボットやAIなどへの受容については、日本も世界平均とほぼ同様に進んでいる。ロボットやAIが担ってもいいと思う職務について日本は、「アシスタント」(85%)、「セラピスト/カウンセラー」(82%)、「同僚」(80%)、「部門長」(75%)、「CFO(最高財務責任者)」(70%)、「マネジャー」(69%)、CEO(最高経営責任者)(66%)を挙げる。これらは11カ国平均とほぼ同等である。

 今回の結果について、調査を監修した慶應義塾大学大学院経営管理研究科 特任教授の岩本 隆 氏は「コロナ禍は逆に、職場のデジタル化を進めるチャンスとも考えられる」と述べている。